創立7周年記念出版にあたって
本年4月に私達の研究室は創立7年目に入りました。工学院大学での6年余が過ぎ,創立時から八王子と新宿両キャンパスに跨っていた実験室もこの春に八王子の新研究棟17号館に移転して統合となりました。この節目の機会に,3周年や5周年の時に逸していた研究室の活動状況を纏めた記念出版を行うこととなり,阿相英孝講師の音頭で在学生,特に院生の熱心な手伝いを得て編集を進め,どうにかこの活動報告書を7周年記念同窓会に合わせて出版することができました。研究室の卒業生も総計90余人となり,振り返ってみれば,あっという間であったような気もしますし,また,さまざまな出来事があり長い時間が過ぎたような気もいたします。 平成13年(2001年)4月に17名の卒業研究生を迎えて,実験装置もPCもほとんど無い環境の中から阿相氏と協力して立ち上げた研究室は,今では院生の数も増え,昨年からは博士研究員の安川雪子さんに加わって頂き,研究室が外に対してより開かれ,大学や企業を含めた国内的にも,また国際的にも広く交流が進み,大きく発展しました。海外からの来訪も,ノルウェー理工科大学(NTNU)のNisancioglu教授を始めとして,韓国,米国,ドイツ,スイスと年毎に増え,ノルウェーのNTNUやスイスのEMPAへの共同研究を目的とした短期留学に院生を送り出すようになりました。研究室学生の意識の国際化も大きく進展しレベルアップしています。 このような研究室の発展は,主宰者のみの力では到底達成できるものではありません。大学に奉職することの意味を,真実を探究する面白さ・楽しさを学生と共感・共有することによってより深い域まで到達することに置くとすれば,張り詰めた状況に置かれることも少なくはありません。このような中で研究室の今の充実があるのは,スタッフ間の理解と協調の結果であり,同時に学生側の共感と挑戦の精神の結実でもあると思います。この6年間の活動状況報告に込められた思いを皆さんと分かち合い,誇りにしたいと思います。 次の活動報告書(第2巻)の出版はおそらく3年後の10周年記念になるでしょう。6年分の報告書は予想以上に大部になってしまいました。第2巻の出版までに,どのような新たな展開があるのか,新たな歴史を刻むことができるか,学生・卒業生の皆さんにも楽しみにして頂き,また共に励んで参りましょう。 最後になりましたが,研究室の今日が形作られたのは,我々を育んで下さった東京大学生産技術研究所,千葉工業大学,芝浦工業大学,東京都立大学,早稲田大学の研究室の先生方からお受けすることができたご薫陶の賜物であることに感謝し,心から御礼を申し上げたいと存じます。同時に,工学院大学の化学系学科を始め多くの先生方の暖かいご支援にも深く謝意を表したく存じます。また,学会・研究会で出会い,ご指導頂き,懇意にして頂いております諸先生・諸先輩方にもこの機会をお借りして厚く御礼を申し上げます。 |
雨の中の紫陽花が美しい季節に |
平成19年(2007年)6月 工学院大学 工学部 応用化学科・化学応用学専攻 小野 幸子 |