NOBE Laboratory
My Work
Floor-Supply Displacement Air-Conditioning System


全面床吹出し空調システム
新しい換気理論による快適空間の創造

この空調システムは、小生が清水建設に所属している期間に研究・開発したものです。(図は「フロアフロー(商品名)」のパンフレットからの抜粋です。)Philosophyにも書いたように、小生は我が国の建築をシンプルでわかりやすいものにする必要性を痛感しております。昨今の空調システムは、複雑なシステムと高度な自動制御によって室内環境を維持することが当然のようになっておりますので、それに対するアンチテーゼとして、このようなシステムを考案いたしました。現在までに約50件、2万uに適用されたと聞いております。従来よりも換気の効率が高い「置換換気」という換気理論を理想的なかたちで実現し、さらに置換換気では不可能とされていた暖房も可能にした空調システムです。 




基本メカニズム

人体や室内で使われるOA機器の上部では、その発熱によって熱上昇流(プルーム)が活発に生じている。したがって、室内で発生する熱や空気の汚れはこの流れによって上部空間へと押し上げられる性質を持つが、通常の空調システムでは室内を空調の吹出し気流によって攪拌混合してしまうので、熱や汚染は周囲に拡散する。しかし、全面床吹出し空調システムでは床面全体から1cm/s程度の微風速で給気するのでこの流れを乱すことがなく、居住空間は常に新鮮な空気で満たされる。



システム構成

床には孔あきの二重床と通気性タイルカーペットが敷き詰められ、空調空気はこの配線スペースを兼ねた二重床内を通って床全面から静かに室内へ供給される。床面を通過する気流の速度は1cm/s程度なので、人体に感じることはない。室内で発生した熱や汚染は天井もしくは壁上部から排出される。




床部詳細

二重床内の空調空気は二重床の小孔を通ってパネル上面に穿たれた溝に流れ込み、線状に拡がって通気性タイルカーペットの裏面に到達する。通気性タイルカーペットの内部にて更に水平方向に拡散し、表面から室内に供給される時点では床全面で均一の微風速を実現している。




床部材

床部材は通気性タイルカーペットと孔あき二重床で構成される。カーペットはアウトガスの少ないピールアップセメントを用いてパネルに固定される。二重床パネル裏面が平滑であることと通気性タイルカーペットには適度な通気抵抗を持たせているため、二重床の高さは従来より低くすることが可能で、床全体から均一の風量、温度で給気することができる。