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My Opinion
Gmark


eマークからGマークへ

建築設備の黎明期は、室内の環境を理想に近づけるための創意工夫が希求された時代であったが、近年、省エネルギー性能や経済性といった評価項目も重視されるようになり、更には環境品質や環境性能といったより総合的な評価が求められている。環境工学或いは設備工学としての職能は拡大し続けて職能の専門化が促進される一方、審美性はいつの間にかこの分野では不可触なものとして扱われるようになった。建築の意匠性への配慮は本来優れた機能の上に成り立つものであったはずだが、専門の分化が進むうちに美と性能はいつしか乖離し、それぞれ独立した評価軸を持つようになってしまった。つとに知られたグッドデザイン賞の「Gマーク」は、形態の美しさだけではなく「品質の良さ」「使いやすさ」「商品としてのバランスの良さ」が認められたものに授与される。建築の美しさも、優れた機能を内包する証として、高次元の融合を象徴するものであるべきだ。そのためには、我々の環境工学もeマーク(省エネ性マーク)のみを志向するより、Gマークへの寄与を念頭に置いた方がよいのではなかろうか。