岡野 速人

テーマ:

各種副産材料を使用したセメントペーストの基礎的物性に関する研究

研究概要:
現在、地球は海洋汚染、土壌汚染、森林減少、温暖化、 オゾン層破壊、酸性雨などの様々な環境問題を抱えている。 それに対し、人間はライフサイクルを通じて大量の資源とエ ネルギーを様々な形で消費し、大量の廃棄物を排出し、環境 問題を生じさせている。今後、高度経済成長期に建設された 建物の多くが使用限度を迎え、解体・除去されるため、解体 コンクリート塊が大幅に増加する。再生骨材のJIS 規格も規 定されたが、普及段階にあるわけではない。

近年の建設構造用コンクリートは、産業廃棄物起源の材料 をはじめ、石粉、コンクリート系微粉末、混和剤ならびに混 和セメントを原料等として積極的に用いた高度副産物利用建 設材料となっている。環境配慮型の建築生産の仕組みが今後 も続く場合、このような材料の選定・利用の方向性は継続す るものと思われる。一方、首都圏を中心とした高度に成長し た都市においては、首都直下地震をはじめ、気候変動に伴う 災害のリスクが高まっており、大規模な災害が生じた後にお ける早期の復元・回復が、その都市機能を維持する上で、重 要となるが、そのためには、先に述べた高度に副産物が利用 した建設材料が、各種の製造条件や維持保全条件のもとで、 早期に利用可能な状態になり、同時に長期的に耐久性を確保 できるような材料であることが重要となる。

上記を踏まえ本研究では、一般的に用いられる普通ポルト ランドセメントを用いてセメントペーストを製造する(実験 1)。その際、今後、二酸化炭素排出削減に向けて重要な役割 を果たすと考えられるカーボンニュートラル性を有する海洋 生物殻廃棄微粉も混和する。その製造したペースト硬化体に ついて,含水状態および熱的状態を変化させ、曲げ強度、圧 縮強度等の基礎的物性をはじめ(実験2)、微細構造分析を評 価し(実験3)、高度に副産物を利用した建設材料の利用可能 性について検討する。


研究成果:
田村ほか,各種副産微粉を混和したセメント系建設資材の熱的物性変化 (その1 ペースト供試体による力学特性と細孔分布特性) ,日本建築学会大会,2011(予定)

自己アピール:

趣味・・・映画鑑賞、 将棋、