五十嵐 怜

テーマ:

植生の有機物骨格を利用した無機有機複合体の基礎的物性に関する研究

研究概要:

近年,様々な分野で複合化やハイブリット化といったことを目にする。これらはそれぞれの物質を単に足し合わせた効果だけではなく,単独の物質では得られない物性,機能を発現する可能性がある。建築材料の分野では鉄筋コンクリートのように複数の異質の物質を組み合わせ互いの欠点を補うことで,更に品質を向上させてきた。

 

古代のエジプトはレンガの中に切り藁や麻を混ぜ,欠陥を減らすためにこれに圧力をかけて成形することで強度や耐久性を向上させた。日本では藁を土壁に混入し,格子状に組んだ竹を補強材として用いることで強度と向上させ,更に湿度を一定に保つ効果や,耐火性などの耐久性を向上させる特徴もある。このように,建築材料の分野では複合材料を作製し実生活に応用させてきた1) 2)。現在,建築材料の分野で主として使用される有機系材料(木材等)と無機系材料(コンクリート等)は別々に用いられることが多いが,このような専門性の分離は,材料におけるイノベーションを妨げる可能性がある。

 

又,建材として利用される天然の有機系材料の多くは強固な繊維骨格を維持しており,骨格を維持しつつ無機系材料であるセメント固化体と複合化することで,互いの欠点を補いつつ新たな特性を持つ材料ができる可能性がある。また,使用する無機材料によっては,仕上げ材として有機物骨格の形やテクスチャーを表現できる可能性がある。

 

そこで,有機物骨格を利用した無機有機複合材料がどのような物性を持ち合わせるのかを評価する必要があるため,本研究で、まずは有機物骨格の製造及び物性評価を行い,次に有機物骨格を考慮した無機有機複合体を作製し基礎的物性評価を行った。(図1)

 

自己アピール:

趣味…アクアリウム ドライ

 

研究成果:

五十嵐,田村:日本建築学会関東支部研究梗概集,2012.3

五十嵐,田村:工学院大学UDM研究報告集,2012.5