森田泰代

テーマ:

屋外暴露した改質こけら葺き屋根の物理的変状の評価

研究概要:

こけら葺きは伝統的木造建築に用いられている、屋根の葺き方の一種である。しかし近年職人や天然林木の減少により、維持・保全が困難となっている。こけら葺きの葺き替えサイクルは約25年であるが、半分の10年で葺き替えなければならない状態に陥った家も存在する。こけら葺きの伝統的木造建築を日本の歴史として後世に残していく必要があると考えている。そこでこけら葺き屋根自体の耐久性を向上することにより、葺き替え周期の長期化を目指す。周期を長期化することにより、材の使用量を抑制することができる。そうする事により、こけら葺き屋根の新しい維持・保全システムの確立を目指す1)。 本研究では実験を行うために実際にこけら葺き屋根を葺き、時間経過に伴う塗装剥離状態や材の汚れ、物理的変状を評価する。

1)色差計を用いて測定したところ、塗装直後と比較して、 色味が落ち無彩色に近づき、汚れていることがわかった。

2)銅板の有無による色、汚れの変化はみられなかった。

3)年輪数が多いとひび割れ数が多くなる。秋田杉よりも宮崎杉の方がひび割れが発生しにくい。

4)変形アスペクト比は人工林と比較して、自然林木の方が値が小さいく、材が反りにくい。

今後も材の色や汚れ、板のヒビ割れ性状や変形性状を測定し、 色や材の変状を見ていく。今後は材の一部を破壊する微破壊試 験、破壊試験を行いたいと検討している。実際に塗装すること により、材が保護され耐久性が向上するのか、本実験よりも詳 しく検証していく。

 

自己アピール:

趣味…公園に行くこと、散歩をすること、ライブに行くこと、音楽を聴くこと、何も考えずにボ〜っとすること

研究成果:

1)森田,田村,他:日本建築学会関東支部,2012

2)森田,田村,他;工学院大学UDM論文集,2012