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テーマ:長期供用の旧基準鉄筋コンクリート部材を想定した鉄筋腐食ひび割れに関する予防保全診断技術の検討
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研究概要: 現在では,建物の寿命を3倍にするという日本建築学会の地球環境憲章における声明から,建物の長寿命化の動きがより一層強まり,建物の目的や機能,性能といった健全性評価の見方が強まった。木造住宅はもちろん,鉄筋コンクリート造などの公共用施設など,長期にわたり供用することが活発である。一方,建築ストックが増大していることと,古い建物への使用者による耐用年数の低下傾向もある。その為,個々の建物の専門技術者による維持管理が容易ではなく,使用者傾向の点検・調査の仕組みが必要である。 本研究では,鉄筋コンクリート造建築物の維持保全性評価について,昭和38年に竣工し,50年近くの供用期間を経ている建物をモデルとした。ひび割れや錆汁の溶出など様々ある,長期供用の旧基準鉄筋コンクリート部材を想定した鉄筋腐食ひび割れに関する予防保全診断技術の検討を行う。そこで,1号館をモデル建物とし,研究1でひび割れ幅,錆汁を評価した後,旧基準を想定した試験体を作製する。研究2より,研究1での結果を元にコンクリートフレッシュ性状試験から腐食減量の測定まで行い,研究3で結果を元に予防保全診断技術検討の確立を狙う。 1) モデル建物の調査により,1963年竣工の築50年の調査により,ひび割れ発生がなく錆汁が生じている潜伏期の箇所が確認できた。 2) 研究1の色彩とひび割れ幅との関係から,汚れ度であるL*値が0に近づき汚れていくとひび割れ幅が大きくなる傾向が確認された。 3) 研究2から,部材要素実験により,水セメント比を含めたかぶり厚さでひび割れ発生時期の相違があること,丸鋼による拘束力低下に伴う,腐食劣化が生じやすいことが確認された。 4) a〜eの連成システムの評価により,汚れ度から部材の鉄筋腐食に対する予防保全段階における強度低下の対策モデルが提案できた。 |
自己アピール: 趣味…趣味:ダーツ 特技:古武術・水泳 研究成果; 2)田村,岡:非破壊検査協会シンポジウム論文集 |