山縣 翔太

 


テーマ:
都市地域における鉄筋コンクリート造建築物の 解体・処理・輸送段階のシステム分析と環境負荷

研究概要:

今日、世界的に地球温暖化問題が重要視されている。そんな中建物解体・廃棄物処理の運搬・廃棄時に大量の廃棄物・CO?発生する。しかし、あまり建物解体・廃棄物処理段階の環境影響の評価はされていない。大きな被害が想定されているため、今から首都直下地震が発生した場合の廃棄物による環境影響(廃棄物量・CO?排出量)を考える必要がある。 そこで、本研究ではまず今回の東日本大地震の被害状況やがれき・建物の解体・処理作業の調査と、実際の解体現場の作業時の廃棄物量・CO?排出量の算出を行い、それら二つの調査から首都直下地震が発生した場合のがれき処理フローの作成を行う。 (図1参照)

表1に大震災がれき量の比較、東日本大震災廃棄物量算出方法を示す。災害時における都市地域がれき処理調査データを表2に示す。今回の大震災は3県の人口1人あたり8.89tに相当する量の廃棄物量である。大震災で家屋のがれき量は岩手、宮城、福島の3県で阪神・淡路大震災の1.7倍である約2246万トンになると推定されている。また今回は津波による被害が大きく、水分や塩分を含んだがれきをどのように処理するかが問題になっている。

東日本大震災・阪神大震災と首都直下地震のがれき量の比較を図2に示す。首都直下地震が発生した場合東日本大震災の約4倍になる9600万tのがれきが発生すると想定されている。 また、今回の東日本大震災で太平洋海岸線が大きな被害を受けた。被害からこの先どのようにすれば早急に復興を進められるか考えるため、被災地都市地域の1つである茨城県のひたちなか市周辺を被災地見学した。表2に実態調査の内容を示す

1) 被災地のコンクリート・瓦等は混ぜて廃棄したため、今後再利用方法の検討が課題として残っており、これが首都直下地震発生時に同じことが起こると予想される。

2) 今回の解体作業では廃棄物量はコンクリートがら、汚泥が多かった。輸送距離では廃プラスチック・木くず・ガラスくず及び陶磁器くずが長い。コンクリートがら・木くずの輸送時CO?排出量が多い。汚泥はは木くず等に比べ廃棄物量が多いが、一度にたくさんの量をトラックに積むことができる為、CO?排出量が抑えられている。

3) 10tトラックを使用しているが、大きなトラックを使うことにより輸送回数を減らし、CO?排出量等を減らすことができる。

研究成果;

1)山縣,田村;日本建築学会関東支部,2012

2)山縣,田村:工学院大学UDM論文集,2012