浅見 樹里(じゅりそ)

研究テーマ:
人とペットが共棲する住環境における音響特性に関する研究

 

研究概要:
 近年人とペットの共棲においてペット居住可マンションの増加に伴い、ペットの室内飼育が増加している。 ペットと屋内で共棲することが増加している中、集合住宅の騒音における判例件数1)は重量床衝撃音と同列でペットの鳴き声が45件中6件と最も多くなっている。住居にはペットの鳴き声を防ぐとともに、ペットが過度のストレスを感じる音を防ぐ必要がある。  平成25年6月に、環境省から「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」2)が制定された。これにより、飼い主の救護支援、放浪動物による人への危害防止や生活環境保全対策としてもペット救護は必要になる。対象は愛玩動物及び伴侶動物とし、従事者の安全確保を前提にペットの同行非難を行う。避難後には、避難所・仮設住宅におけるペット管理は飼い主の責任となるので、災害時の避難所・仮設住宅等の住環境品質保証も必要となってくる。 以上をふまえ本研究では、研究1として住宅内外において発生する音を調査、研究2では、一昨年に発生した東日本大震災にて建設された、仮設住宅の状況調査を行う。研究3では住宅を構成する建築材料の音響特性評価をし、音源と建築材料の特性を音圧レベルと周波数において研究する。そして研究2,3のデータより建築材料の防音性能の考察を行う。

本研究より以下の知見が得られた。 1)人システムは音源の種類が様々だが、比較的中高周波域で高く、ペットシステムは中周波域で高レベルを示した。外部発生音は高周波域の騒音レベルは低く、低音域は高いレベルを示す。 2)騒音レベル分析結果として、シェパードは対外では高音域で減衰し、ダックスフンドは対外で高音域が減衰した。靴音は0パターンとの大きな差が見られない。吸音率分析結果として、シェパードでは高周波域でよく吸音され、低周波域にて少し吸音し、ダックスフンドでは、どの地点も高周波域でよく吸音されていた。靴音では、高周波域である程度の吸音がみられる。 3)簡易縮小モデル実験にて、カーテン及びラグにおける騒音レベルの減少、特にピーク周波数で減少させることができた。 研究1,2,3により、避難所や仮設住宅における狭小な空間で、音の影響を減少するための技術的な対策について検討することができた。

 

研究成果:
1)浅見樹里、田村雅紀、金巻とも子、鹿野正顕,長谷川成志,人とペットが共棲する住環境における音響特性に関する研究、2013年度日本建築学会関東支部研究報告集1,CD-ROM, 2014.3

2)浅見樹里、田村雅紀、金巻とも子、鹿野正顕,長谷川成志,応急仮設住宅における人とペットが共棲する住環境に関する音響特性評価 平成25年度研究成果報告書,工学院大学都市減災研究センター,2014.3

3)浅見樹里、田村雅紀、金巻とも子、鹿野正顕、長谷川成志、災害時を含めたペット共棲住環境の品質評価、その2 住環境改善システムの適用による音響特性:社会貢献学会,第4回、東京、2013年12月