石井 佳樹(ヨシキ)

研究テーマ:
建物外壁一次診断を踏まえたタイル仕上げの劣化診断と維持保全リスク評価

研究概要:
現在では、建築構造物の寿命を3倍にするという日本建築学会の地球環境憲章における声明から、建築構造物の長寿命化の動きがより一層強まり、目的や機能といった健全性評価に見方が強まった。木造住宅はもちろん、鉄筋コンクリート造などの公共用施設など、長期供用が活発である。一方、建築のストックが増大しており、古い建物への使用者による耐用年数の低下傾向もある。しかし、現在では建築物の診断・評価方法1)が確立されておらず、個々の建築構造物の専門技術者による維持管理が容易でなく、使用者の傾向診断・調査の仕組みが必要である。そこで、本研究では建築物の劣化部分の早期発見、予防保全のための建物診断の課題を具体化し、新たな診断方法の提案、精密騒音計、機械インピーダンスの実測データを採取し、外壁診断への提案、それに伴うリスクを踏まえたマネジメント2)3)を行う。図1に本研究の流れを示す。

本研究より以下の知見が得られた。
1)既存郵政外壁診断の実施により、一次診断の評価方法の時間や頻度が確認できた
2)騒音レベル測定、機械インピーダンス測定では、外壁タイルのばらつきが確認でき、付着強度への関係付ができた
3)模擬試験体で一次診断データからの付着強度と付着率がわかった
4)建物の一次診断を定量化することで、外壁診断+補修の経済損失のリスク評価ができた
5)付着強度と機械インピーダンスの関係を向上することで精度の高い実験結果になると考えられる

研究成果:
1)石井佳樹、田村雅紀、建物外壁一次診断を踏まえたタイル仕上げの劣化診断と維持保全リスク評価、2013年度日本建築学会関東支部研究報告集1,CD-ROM, 2014.3

2)石井佳樹、田村雅紀、都市既存建物の外壁一次診断を踏まえたタイル仕上げの劣化診断と維持保全リスク評価 平成25年度研究成果報告書,工学院大学都市減災研究センター,2014.3