伊藤 顕紀(イトー)

研究テーマ:
災害時に使用可能な多種混合セメントによるレジリエンス対策

研究概要:
日本では地震や津波などの自然災害での被害を軽減し、被災地のよりはやい復興が求められる。日本は過去の統計から大きな自然災害は10年間に約3〜4回ほど発生している。近年では東日本大震災により、より人々の自然災害への関心が高まっている。日本政府は大きな自然災害が発生するたびに様々な政策をしているが、我々一般人、民間企業が自然災害発生時のことを予測し、対策を練り、準備をしておかなければ被害の軽減を望むのは難しい。また、被害が出た際の回復力、復元力を強化するため我々1人1人が真剣に考え、周りの人々との協力が必要不可欠となる。また、東日本大震災の復興の際、セメント業界では中庸熱ポルトランドセメントが不足するといった問題が発生した。このような問題が発生した理由は、通常時中庸熱ポルトランドセメントの使用頻度が低く、被災した工場のみで製造されていたためである。このような事態を今後防ぐ1つの方法としてセメントの多種混合調合である。現在JIS規格にあるセメントを混合し、JIS規格にあるセメントの代替にするということである。図1で本研究の流れを示し、表1で研究内容を示す。

 本研究により以下の知見が得られた。
1)ヒアリングにより、平常時はJISの基準に従うが、災害時は、メーカーが、品質保証を満たす方法が具体化されれば、多種混合セメントレジリエンスでの対策の余地がある。
2)凝結試験は、NとLの8:2混合では、始発は,大きな差   はないが、終結時に、Mに近づく傾向が見られた。
3)セメント強度は、NとLの8:2混合セメントはMの特性に近づく結果となる。
4)簡易断熱温度上昇において、NL 8:2混合セメントは、 Nと同程度の熱量であった。
5)すべての物性評価試験から、複数のNとLの混合セメントはMのJIS規格を満たすことが確認された。


研究概要
1)伊藤顕紀、田村雅紀、災害時に使用可能な多種混合セメントによるレジリエンス対策、2013年度日本建築学会関東支部研究報告集1,CD-ROM, 2014.3

2)伊藤顕紀、田村雅紀、災害時に使用可能な多種混合セメントによる都市建築ストックのレジリエンス対策 平成25年度研究成果報告書,工学院大学都市減災研究センター,2014.3