研究概要:
2011年3月11日に発生した東日本大震災は今までの防災の考え方では対応が追い付かないという現実を知らしめられた。したがって、我が国は国家の存亡に直結する数々の危機を乗り越えられる「強靭性
(レジリエンス)」身につけねばならない。それによって初めて日本に安寧と成長が得られることができる。なぜなら、あらゆる危機に対応できる国家のみが21世紀の危機の時代においては成長ができるからである。レジリエンスは、「最悪の事態」から出発して既存の枠組みにこだわらず、これからどのように回復、復興するのかという観点で、国づくりを発想し直すことである。以上より、本研究では既往研究1)より多像化壁紙を用いた官能検査を災害時での想定で行い、レジリエンスの観点から壁紙の性能を評価する。災害時を想定した官能検査を行うことで平常時の壁紙の機能との性能の差を把握でき、材料作成の際に災害時に著しく性能が落ちる箇所を強化する事が出来る。本研究では、平常時の性能を割り出すため使用する多像化壁紙を実測定(研究1)にて官能検査を行う。多像化壁紙は観察する距離によって見え方が変わる壁紙のため、観察距離を変化させ官能検査を行う(研究2)。そして平常時における性能を割り出した後に、光源を災害時に想定した照度に変え(研究3)、官能検査を行い平常時との性能を比べる事によって災害時を想定した官能検査を行う
1)実寸スケールの印象評価では、特定の模様幅でモアレ
2)観察距離変化による印象評価では、認識を高める上での解像度ごとの適性距離があり、さらに観察距離ごとに印象評価の違いが見られた。
3)災害時想定の印象評価では、表面反射量の高い壁紙を用いることで認識度を高められた。さらに観察距離と解像度の組み合わせにより、平常時よりも認識度を高められる可能性を見出せた。
4)災害時を想定した視覚距離により多像化する壁紙の認識度の改善により、レジリエンス能力を内包した建材作成を可能性を見出せ、レジリエンスの力を高められる可能性を示した。
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