矢野 裕侑(ヤノッチ)


研究テーマ:

屋外暴露した改質こけら葺き屋根の初期劣化要因と安定化状態の評価

 

研究概要:

日本の伝統的屋根葺き構法はコストや耐久性の問題から年々減少傾向にありこれら保護する必要がある。その理由として文化的価値があり観光資源として期待されており保全保護するニーズがあり、現在でも専門家により保全方法について議論されている。こけら葺きを保護していく上で大きな問題となるのが維持費であり、葺き替えのたびにコストが必要なため大きな負担である。そこでこけら葺きの保護方法の一つとして挙げられる改質処理が有効である1)〜3)。改質処理を行う事により耐久性の向上をする事が出来れば葺き替えのサイクル長期化に繋がり結果コストの削減にもなる。本研究ではこけら葺きの初期劣化性状を調査し劣化の原因を検証し、実験項目の色、ひび割れの観点から2010年〜2013年までの劣化低減速度を踏まえ環境要因がこけら材の劣化に影響を与えるのかを検証する。また塗料による改質処理の効果を検証し、改質処理により長期使用を実現する可能性を検討する。 研究2では既存の研究の研究結果を踏まえた上で角度・表面保護塗料の観点から違いを検討する。

1)研究1,2通して、アクリルシリコン系塗料は材に関わらず保護効果があり、フッ素系遮熱塗料は材に関わらず表面保護効果がある事が確認出来た。
2)a*b*値による色相は保護効果が失われた材は4年経過した今では値が0に近い無彩色になっている。
3)研究2冷泉家こけら材の屋外暴露試験では屋根勾配が急な場合、紫外線量が下がり色落ちも低下し、緩やかな場合紫外線量が多くなり色落ちが増加する。

研究成果:

1)矢野裕侑、田村雅紀、後藤 治,山本博一,屋外暴露した改質こけら葺き屋根の初期劣化要因と安定化状態の評価、2013年度日本建築学会関東支部研究報告集1,CD-ROM, 2014.3

2)矢野裕侑、田村雅紀、後藤 治,山本博一,伝統的木造建築における改質こけら葺き屋根の初期劣化要因と安定化状態の評価 平成25年度研究成果報告書,工学院大学都市減災研究センター,2014.3