小野 航太郎(コ−タロー)



研究テーマ:

築27年経過した超高層ビルから採取したシーリング材の外部環境影響を踏まえた劣化度調査

研究概要:
近年、高層建築物の改修工事が増加しているのにもかかわらず、 高層建築物の経年劣化の調査報告が少ない。シーリング材は各種仕上材の中でも比較的耐用年数が短く、また常に露出状態で使用され、風・雨・日射等による気象の影響を受けやすいため劣化しやすい。本研究では27年間使用されているが、未だ劣化調査を行っていない工学院大学新宿校舎のシーリング材を対象にする。設立から28年目にして新宿校舎の外壁にあるすべてのシーリング材を新しく補修することが予定されているが、27年間一度も予防保全がされていない超高層建築のシーリング材は劣化度や保全の面でも貴重なサンプルになるため、研究の対象にしていく。カーテンウォール廻りからシーリング材を採取し、種類は2成分系変成シリコーンであることがヒアリング調査から判明している(窓枠には汚れ防止のために2成分系シリコーンを使用している)。シーリング材を東西南北の高層・中層・低層 に分けてシーリング材の経年劣化による力学的性能・耐久性といった物性能力の低下の度合いを把握する目的で物性試験の調査を行う。高さ・方位・劣化状況の違いを考慮しながら100年の期間を想定してシーリング材の補修予算の積算を行い、予防保全が必要かどうか調査を行う。

まとめ
1)本研究の結果、新宿校舎から採取したシーリング材は物性より外観の劣化の度合いが大きいことが判明した。
2)今後は劣化度Vとなる箇所を事前にメンテナンスを行い、経年劣化を防ぐことで外観の劣化による漏水を未然に防ぐ必要があり、定期的な補修工事を行う必要性があると予想される


研究成果:
小野航太郎,田村雅紀:築27年経過した超高層ビルから採取したシーリング材の外部環境影響を踏まえた劣化度調査,日本建築学会関東支部研究報告集,2017.3
小野航太郎,築27年経過した超高層ビルから採取したシーリング材の外部環境影響を踏まえた劣化度調査,工学院大学卒論,2017.3


特技・趣味:
読書・水泳・サイクリング