研究概要:
現在、コンクリートは建築材料において多くの建物に使用されている材料のひとつである。コンクリートは塩害や中性化、凍害、乾燥収縮などの経年劣化や施工不良、災害の被害による浮きや剥離、ひび割れ等の劣化につながるので維持管理が必要である。コンクリートの浮きや剥離、ひび割れにより美観を損なう、構造物内へ漏水、構造耐力を損なう、鉄筋の腐食等が原因となり、補修工事が行われている。その補修工事を行う際には建物の劣化を調査し補修箇所を特定する必要がある。
そこで、補修工事を行う前の検査の方法として、破壊を伴う検査と非破壊による検査がある。本研究で用いた赤外線サーモグラフィ装置は非破壊による検査を行うことが可能である。赤外線サーモグラフィ装置は非破壊検査では主に建物の大きな面を撮像し健全部と劣化部の温度変化の違いから劣化箇所を発見するために用いられる。赤外線サーモグラフィ装置を用いた検査でひび割れの劣化をより詳しく調査できないかと考え研究を行うことにした。
そこで、本研究では研究1でコンクリート構造物の劣化、特にひび割れによるものについての調査。ひび割れと鉄筋との関係性について調査を行う。研究2でコンクリート構造物である図2a)の工学院大学八王子校舎15号館のひび割れ調査、温度変化の調査を行い、コンクリートの模擬ひび割れ試験体をひび割れ幅や深さ、明度の違いのあるものをつくり劣化を評価し、赤外線サーモグラフィ装置とコンクリート構造物のひび割れとの関係性を評価する(図1)。
まとめ
1)赤外線サーモグラフィ装置を用い、ひび割れ幅と深さの違いを赤外線画像や温度変化のグラフから読み取ることができ、ひび割れ補修に関わる外壁調査による一次診断の技術情報を検討した。
2)外壁調査によるひび割れ幅と深さの関係から補修材料コストを求める関連図を作成した。
研究成果:
佐藤勇太,田村雅紀:既存コンクリート構造体の赤外線サーモグラフィ装置を用いたひび割れ深さ検出,日本建築学会関東支部研究報告集,2017.3
佐藤勇太,既存コンクリート構造体の赤外線サーモグラフィ装置を用いたひび割れ深さ検出,工学院大学卒論
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