研究概要:
近年日本では3つの変化が起きている。
高齢者が増加していること、オーガニックへの意識が高くなっていること、ペット同伴可能な店舗が増加していることの3点である。
お客様として高齢者、ペットを飼育している方は必ずSCを利用し、商品販売で自然食品等を扱っている店舗はSC内に多くある。
今後この変化に見合ったSC内の環境を作る必要があると考える。そこで住環境において、特に重要であるとされる音と空気の調整に視点を置き、人間も動物もそれぞれが快適かつ、商品販売促進する作用のあるSC環境を調査する。
この研究では、住環境に必要な壁材を対象にし、様々な素材の壁材を比較する 音と空気の調整が可能な壁材の評価をし、指標を作ることによりSC内様々な場所に合わせた快適な環境を作ることができる。
1)音:遮音性のある壁材等を計画的に設置することで、ペットの吠え声やSC特有の騒音等を吸収し小さくする。高齢者等の聴覚への負担を軽減することができる
2)空気:空調に頼りすぎずに、壁材が湿気等を吸収することによって高齢者の体調の負担を軽減できる。自然食品等を扱っている店舗で、自然由来の壁を使用することによりお客様への印象を上げることが期待される。ペットの臭いなどを吸収し、同伴できる場所を拡大することができる。
1)使用材料
クロス・ペイント・漆喰・珪藻土・ペット建材(防音・消臭機能のもの)を比較対象とする。全41種類
2)社会調査
左官材の基礎を学び、左官の施工現場状況、一般の方を対象に左官等の認知度・住環境で音や湿気が気になるのかを調査。アンケート実施済みである。
3)試験体の作製
遮音用は430o×300oの試験体を作製。調湿用は100o×100o。ペット建材以外は全て職人と共に作製済みである。養生期間中の試験体の質量・含水率を測定しその数値が期間中の天気等に関連しているか測定を行う。また作製した職人の方に施工時の状況のヒアリングを行い、各々の練り状態や硬化速度の調査をする。
4)遮音性能評価
施設内に見立てた簡易ボックスを使用し、試験体をボックスの間仕切壁にする。そこに雑音発生器と精密騒音計をそれぞれ設置し試験体それぞれの透過損失(Hz)と吸音率(db)を測定する。5)調湿性能評価試験体を1つずつ密封容器に入れ、試薬を入れ、容器内温度を20℃・湿度50+5%と温度20℃・湿度80+5%に保つ。投入してからそれぞれ3時間おき(24時間)試験体の質量を測定し調湿性を評価する。
研究成果:
1)牧野萌子、田村雅紀、石川隆司、金巻とも子,各種内装左官仕上げ壁の調湿性能の測定・比較-左官材料を中心とした仕上げ壁の機能性評価-その4 2017年度
日本建築学会関東支部研究報告集1,CD-ROM, 2018.3
2)牧野萌子、田村雅紀、石川隆司、金巻とも子,各種左官仕上げ壁の防音特性の比較‐左官材料を中心とした仕上げ壁の機能性評価‐その5 2017年度
日本建築学会関東支部研究報告集1,CD-ROM, 2018.3
3)田村雅紀、金巻とも子、牧野萌子,石川隆司,左官材料を中心とした仕上げ壁の物性評価と機能展開,その4 内装左官材の調湿性能測定と比較,2018年度
日本建築仕上学会研究発表論文集,pp.101-105, 2018.10
4) 田村雅紀、金巻とも子、牧野萌子,石川隆司,左官材料を中心とした仕上げ壁の物性評価と機能展開,その4 内装左官材の調湿性能測定と比較,月刊リフォーム2018年11月号,pp79-83,2018.11
5)石川隆司、田村雅紀、中田 倫、牧野萌子,左官材料を中心とした仕上げ壁の機能性評価,その1 実験概要と試験体の作製,日左連
Mo.705,pp.3-4, 2018.11
6)牧野萌子、田村雅紀、石川隆司、金巻とも子,左官材料を中心とした仕上げ壁の機能性評価-その4,内装左官仕上げ壁の調湿性能測定と比較,日左連
Mo.705,pp.9-10, 2018.11
7)牧野萌子,左官材料を中心とした仕上げ壁の機能性評価-調湿性能と騒音防止効果,工学院大学卒業論文報告,
2018.3
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