研究概要:
現在汚れは、その色をみて人がどう感じるかによって汚れと認識されている。特にGMS空間は不特定多数の人が利用する空間であるため、汚れに対する感じ方は人それぞれである。
このように人によって差異が生じる汚れを、どの程度まで汚れたら多くの人が汚れと感じているのかを評価できる"汚れ式"を分析する。
さらに汚れというものは色(L*、a*、b*)だけでなく、材料が持つ表面粗さ(μm)や光沢反射(%)も人間が汚れを認識する上で重要になると考えられる。
また、汚れという認識は各個人で意識の差があるため、人の汚れに対する意識調査も合わせて行う。
この色差・光沢反射・表面粗さの3つの指標と、人間の感覚的要素を掛け合わせ、"汚れ式"を考案する。
汚れの認識は人それぞれであるが、これを一般化することができると考えている。よって内装仕上げ材の付着汚れに対して、修繕するべきか否かの指標となる。
汚れの判断材料として色だけの評価よりも、材料特性と人間の感覚的要素が介入することでより細密な評価が可能になる。
これにより早期の改修や余分な改修がなくなり、適切な時期に修繕を行うことができると考えている。
使用材料
1. 壁材(普通コンクリート、壁紙、塗装壁、花崗岩)
2. 床材(大理石、人口疑石、合板フローリング、天然木)
3. 天井材(石膏ボード)
実施計画
1). 仕上げ材料と汚れに関する既往の研究分析、本研究における「汚れ」の定義づけ、汚れに対する各メーカーの対応について文献調査する
2). 色差(凾d*)、光沢反射(%)、表面粗さ(μm)の各JIS規格を調査する
3). 汚れに対する意識調査アンケートの実施(大学生対象)
4). 材料集め、汚れ試験体の作成
5). JIS規格に則り、各材料の3指標を計測、分析する
6). 汚れ試験体の官能検査の実施
7). 3指標と官能検査の結果をもとに汚れ評価式の作成
研究成果:
1)大野 彩、田村雅紀,各種内外装材料の汚れ意識調査と汚れ洗浄処理による印象改善度の評価2017年度 日本建築学会関東支部研究報告集1,CD-ROM,
2018.3
2)大野 彩、各種内外装材料の汚れ意識調査と汚れ洗浄処理による印象改善度の評価 2017年度
工学院大学卒業論文集1,CD-ROM, 2018.3
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