研究概要:
コンクリートの中性化による質量変化および収縮の挙動に関する実験
1.研究の目的
硬化後のコンクリートは乾燥により質量は減少し収縮ひずみ(乾燥収縮)が生じる。また、中性化により質量は増加し収縮ひずみ(炭酸化収縮)が生じることが知られている1)。しかし、これらの挙動について系統的な研究は見当たらない2)。そこで本実験では促進中性化試験を行い、質量変化と収縮の挙動について検討を行うこととした。なお、本報告は前年度の同名論文3)の続報であり、材齢73週までの試験経過および検討結果を示すものである。
2.研究の方法
供試体の作製 調合および使用材料は鈴木氏らの実験4)に倣い、水セメント比は50%, 60%, 70%として、JIS A 1138に準じてコンクリート供試体を作製した。供試体の形状と寸法は表1に示す通りである。今回の実験では、試験の結果を早期に得るため、水セメント比70%のコンクリートについても検討し、通常の半分の幅の角柱供試体で試験を行った。
2.2 供試体の保存条件 全ての供試体は打込みの翌日に脱型し、材齢4週まで標準養生を施した。その後、力学試験に用いない供試体については、20℃,
60%R.H.の恒温恒湿槽で材齢8週まで乾燥を行った。材齢8週時に供試体の打込み面および底面、角柱供試体についてはさらに両端面をエポキシ樹脂でコーティングし、翌日、一部の供試体を20℃,
60%R.H., CO2濃度5%の促進中性化槽へ移動した。残りの供試体は恒温恒湿槽へ戻し、乾燥を継続した。
3.研究成果:
1)大山優、阿部道彦:コンクリートの中性化による質量変化および収縮の挙動に関する実験,AIJ学術講演梗概集, pp.225-226,
2018.9
2)大山優:コンクリートの中性化による質量変化および収縮の挙動に関する実験,工学院大学卒業論文集,2019.3
3)大山優、阿部道彦,田村雅紀:コンクリートの中性化による質量変化および収縮の挙動に関する実験,その2,AIJ学術講演梗概集,
2019.9
4)大山 優,田村雅紀,コンクリート仕上げ部を想定した長期保存コンクリートおよび促進試験体による中性化影響の比較,2020年度
日本建築仕上学会研究発表論文集,2020.10
5)Masaru Oyama, M.Tamura Experiment on a Mass Change and Shirinkage
of Concrete due to Carbonation,18th international symposium on
advanced technology (ISAT-18),Taiwan,2019.11
6)大山優、田村雅紀、阿部道彦、材齢24年の屋内保存コンクリートと材齢2年の促進中性化コンクリートに及ぼす中性化の影響の比較、日本コンクリート工学会年次論文集Vol.42,
No.1,pp.515-520,2020.7
7)大山優、コンクリートの中性化による体積変化におよぼす粗骨材および試験体条件の影響
工学院大学修士論文論文集,2021.3
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