研究概要:
1.研究の目的
近年、日本ではRC造やS造などが主流になり、古来より伝わってきた木を主体とした日本の伝統建築が減少してきている。その要因として技術者・職人の高齢化・減少による補修の問題などが挙げられる。また、伝統的建築物の中には、環境などによる建物の劣化の変化が明確になっていないものもあるということも要因のひとつではないかと考える。伝統的な屋根の仕上げである「こけら葺き屋根」もその中の一つである。この「こけら葺き屋根」も設置する環境や仕上げの違いによる劣化の状況が明確になっていない。そこで本研究では、使用材や仕上げによる劣化の違いを調査することで、劣化を防ぎ張替えのコストを低減させ存続させていく目的で行う。
2.研究の方法
愛知県名古屋市にて7年半暴露していた試験体を用いる。部位や向き、銅版の有無による劣化の具合を調査する。調査内容は主に、色彩、水分量、硬度などを調査する。
1)使用材料
こけら葺き屋根試験体(こけら板−杉赤身手割、野地板−杉赤身材、葺き込み銅版−銅版)
各種測定機器(色差計、含水率計、デジタルフォースゲージ)
3.研究成果:
1)櫻井 瞭、田村雅紀,屋根葺き仕様を変えた各種こけら葺き屋根の長期暴露性状の評価,2018年度 日本建築学会関東支部研究報告集,CD-ROM,
2019.3
2)櫻井 瞭、屋根葺き仕様を変えた各種こけら葺き屋根の長期暴露性状の評価,2018年度
工学院大学卒業論文集,CD-ROM, 2019.3
3)櫻井 瞭、田村雅紀,各種都市建築物の非構造部材における性能評価と機能継続に関する研究,屋根葺き仕様を変えた各種こけら葺き屋根の長期暴露性状の評価,工学院大学研究ブランディング事業,巨大都市・複合災害に対する建築・情報学融合によるエリア防災活動支援技術の開発と社会実装,成果報告書,2019.3
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