土橋匠(ドバシ)



研究テーマ:

漆喰厚塗り工法の仕上げ部に関する力学特性の検討

研究概要:

漆喰は、日本の伝統的な素材の一部である。一般的に は「呼吸する素材」として知られており、シックハウス の防止など環境に良い自然素材の建築材料である。戦国 時代、当時漆喰の持つ高い耐久性や、防火性等から採用 されてきた1?。施工方法として、現在では複層塗りと厚 塗りの工法が採用されている3?。漆喰は他の左官材料と 比較し、力学的強度が低いことから、図 2 のように塗り 層を薄く、複数回に分け塗り重ねることで強度を高めつ つ施工することができる3?。一方、厚塗りでは中塗り部 位の中塗り部を厚く塗り、塗りの工程を合理化した工程 となっている。これにより少ない手数の中、短工期で施 工することができる。なお、既往の研究2?にて、厚塗り に関して長期耐用に課題があると指摘している。本研究 では上記の問題を踏まえ、調査・実験を行い、厚塗り工 法による漆喰仕上げ部に関する力学特性の検討と題し、 力学特性の改善を調査する

1)曲げ試験、圧縮試験では、砂量が 90%・スサ量が 2% の試験体が比較的大きい強度と靭性を得ることができ た。剪断・引張試験ではスサ量が 4%の試験体が靭性を 大きく得た。
2)砂を混和することで、最大強度及び延性を強くする特 徴がある。そしてスサは、試験体が最大荷重を過ぎた 後、急激な靭性低下を防ぐ特徴があること分かった。
3)砂量、スサ量が一定量を超えると、強度が低下する ことが分かった。 4)既調合漆喰の試験体ではそのままの調合で使用するよ り、砂・スサを増量した試験体が、強度及び靭性を両 方大きく得ることができた。破壊靭性エネルギーに関 しても、スサを増加した試験体がより大きくなった。 実際に使用する際には、スサと砂を若干増した方が, 強度や靭性を確保できることが分かった

4.研究の成果

土橋匠,喰厚塗り工法の仕上げ部に関する力学特性の検討、2020年度 工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2021.3

 

特技・趣味:
いろんな材料と向き合ってダンスの可能性を広げられるように したいです