池田礼應(レオ)



研究テーマ:

伝統木造復元工事におけるアクリルシリコン系透明保護塗膜を用いた新技術適用と 維持保全に向けた持続的労務対策

研究概要:

木材は古くから建築の資材として使用されてきた。法 隆寺や東大寺大仏殿など歴史的建造物には木材が多く用 いられる。木材は特有のぬくもりや味があり、多くの人 に愛される一方、自然素材がゆえに腐食や退色など耐久 性に劣る。また木材を加工できる職人の減少も原因の 1 つとしてあげられる。木材劣化の解決方法として、木材 の表面に透明保護塗膜を施し、木材そのものの耐候性を 向上させる方法を開発したアクリルシリコン系透明保護 膜(保護塗膜 A)は既往の研究で木材の退色劣化の防止 が可能であるという結果が出ているが実建物での適用実 績は十分検討されていない。そこで、大平宿での建物保 護の依頼に基づき、現地調査を行った結果、木質屋根材 の修復が早急に必要であることが判明した。そこで保護 塗膜 A を用いた栩葺復元計画をたて、現代技術と現地で の地産地消を促す労務対策を踏まえた実施工検証を行っ た。

大平宿の建物群は立地や職人不足の問題があり、耐久 性確保が難しいのが現状である。アクリルシリコン系透 明保護塗膜の実績を確立することができれば、大平宿の 建物の保護に貢献することができると考えている。また このアクリル系透明保護塗膜を用いる修復工事はアクリ ル系透明保護塗膜により一般技術者による材料作成でも ある程度耐久性がでるため、専門職人を有せず作業を行 うことが可能ある。大平宿の周りには人口のカラ松林も 多く存在するため、本研究を通して将来的には地域の地 産地消も推奨できると考えている。

研究の成果 :

池田礼應、田村雅紀,伝統木造復元工事におけるアクリルシリコン系透明保護塗膜を用いた新技術適用と維持保全に向けた持続的労務対策,2020年度 日本建築学会関東支部研究報告集,CD-ROM, 2021.3

池田礼應,北畠佳鈴,姜灌涵,田村雅紀,アクリルシリコン系保護塗膜を用いた栩葺復元工事計画及び色彩評価−長野県飯田市大平宿からまつ屋を例に−,日本色彩学会環境色彩研究会研究発表報告,2020.2,

池田礼應、伝統木造復元工事におけるアクリルシリコン系透明保護塗膜を用いた新技術適用と維持保全に向けた持続的労務対策,2020年度 工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2020.3