佐伯杏菜(あんな)


 


研究テーマ:

形状切削した古紙の水流作用による比重分別と積層技術を適用した建材開発

研究概要:

古紙は、再利用しやすい資源であり、長年世界中で利用 されてきた。環境に調和し、その大部分が素材(セルロー ス)からつくられている。しかし近年、古紙の回収率と利 用率には、大きな年々差が生じている 1)2)3)。このような現 状には多くの原因が考えられるが、このような事態が続い ていくと、国内には利用されず廃棄物となった古紙が溢れ、 本来なら再利用することができる資源が、産業廃棄物とし て処分されてしまう可能性がある。紙は、資源循環性もよ く、自然に返すこともできる有能な材料であるが、原料と なる材料自体は有限ではない。 本研究では、需要がなく利用されにくくなった古紙を使 用して、それらが元々もっている色や特性を生かしつつ、 将来、建材製品として長く利用していくことができないか を検討する。「地球環境に配慮した生き方」というロハスの 考え方や、SDGs の 12 のゴールにある「つくる責任 つか う責任」を強く意識して、この先の日本の紙資源利用にど のように関係していくかを検討する。なお、海外で広く考 えられているサーキュラーエコノミーの考えを取り入れ るため、まずは、国内外の古紙事情の調査を行い、現状を 把握する。

1) 現在、国内には多様な古紙が溢れて、再利用しにくい 古紙は廃棄物として処分されている。
2) 海外では、廃棄物の利用が当たり前になっている。
3) 古紙の中でも、スキ色と呼ばれる繊維まで染められた 紙の需要が下がっている。
4) 紙を水流で分別する場合、主に質量の軽いものは外側 へ流され、重いものは中心に留まると考える。
5) 面積が大きいものに関しては、浮力も大きくなること から、外側に流される傾向にある。
6) 紙の水流分別を行うことは可能であると考えられる。
7) この工法では、模様に関して無限の可能性が広がる。
8) 資源にならないものを再利用することで、経済循環に も良い影響を与えることができると考えられる。

謝辞 本研究は、株式会社大久保との共同研究であり、現在の 古紙事情に関しての有益な討論を展開していただくと共 に、古紙処理工場見学の機会を頂きました。ここに感謝の 意を表します。

研究の成果

佐伯杏菜、田村雅紀、大久保薫,形状切削した古紙の水流作用による比重分別と積層技術を適用した建材開発,2020年度 日本建築学会関東支部研究報告集,CD-ROM, 2021.3

佐伯杏菜、形状切削した古紙の水流作用による比重分別と積層技術を適用した建材開発,2020年度 工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2020.3

 

特技・趣味:
SDGsを意識して,内装ディスプレイの世界を,
いろんな材料と向き合ってとくに廃材も利用して可能性を広げられるように したいです