山田達也(たつや)


 


研究テーマ:

施工技術者の施工実態分析に基づく外壁タイルの打診時周波数特性と付着抵抗性

研究概要:

現状の外壁タイル劣化診断方法として多く用いられている打音検査法は、テストハンマーを用いて壁面の健全部と浮き部の打診音の差異を検査員が聴き分け判定している。この診断方法は、測定結果を客観的な数値としてあらわすことができず、判定精度にばらつき、個人差が生じてしまう問題点がある。このような背景から、外壁タイル打診検査における判定精度の向上を目的とし、実務者への現場調査の後に、模擬試験体を作成し打診音を周波数に置き換え判定を行うことで、1)2)打診音の周波数特性とタイル付着性状の相関性評価基準を作成するとともに実外壁への適用検討を試みる。

1)実務者のアンケートで施工が遅くなる周辺部、下端部の特定部は健全度が低下する認識があることが確認され、実験結果からもオープンタイムが長くなるとモルタル硬化によりかみ合わせが悪くなる物理的作用と、セメント硬化体の水和反応への水分消費に傾き、タイル裏への化学的な接着力による影響は物理的作用よりも早めに低下する可能性がある。
2)ビブラート時間の長短は付着強度に影響を及ぼすが、オープンタイムが長めの60分以上の場合でも、打撃数により一定の効果がある。
3)一次ピーク周波数と付着強度の相関性が確認され、オープンタイム20-40分以内なら、一次ピークより付着強度が推定できる可能性がある。
4)大型タイル構造壁の付着劣化が剥離部特性ピークの検出量で推定できる可能性がある。

本研究は株式会社エフビーエスとの共同研究であり、三條場信幸様、山本啓介様、有限会社エフシステムの吉田郁雄様には外壁タイルの調査の機会を頂き、福田安志様、小原勝次様には測定に関しての助言を頂きました。ここに感謝の意を表します。

 

研究の成果

山田達也,施工技術者の施工実態分析に基づく外壁タイルの打診時周波数特性と付着抵抗性、2019年度 工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2020.3

 

特技・趣味:
外壁タイルのある場所に,これからもどんどんのぼって,たたいて,いい音色をききたいです