小山建斗(タット)


研究テーマ:

ゾノトライト系廃棄粉末と天然鉱石粉末混和材を含有した乾式漆喰パネルの空気質改善効果

研究概要:

1.研究の目的

漆喰は 耐火性や耐久性に優れており、 日本の伝統的な素材 として 長年にわたり 使用されてきた。しかし、施工者の減少 に加え湿式工事は価格が高価であり、建築工事の大半は乾式 工事 となっている 。そこで、乾式の 漆喰パネルを開発するこ とで安価に漆喰壁を普及 させる ことが出来ると考えた。乾式 化に伴い、需要の拡大が期待できるため使用する左官材は環 境に配慮し 、 ALC 、 E CP 等のケイ酸カルシウム系材料切削時に 多量に 発生する廃棄微粉末を使用する。本研究で用いる粉体 はゾノトライト系結晶 6CaO・ 6SiO2・ H2O を含み漆喰成分 と 親水性があるため 1 、 代替可能な 左官仕上げ材料として期 待できる。 一方で、コロ ナによる空気質改善対策として抗菌性・空気 清浄性としてマイナスイオン効果も同様に注目を集めており 2 、 JIS B9929等で分析方法 が 定め られ、 放射性鉱石等の電磁 波振動の影響からマイナスイオンが発生することが分かって いる。ケイ酸カルシウム 系 粉末を使用した漆喰の性能評価に 加え、マイナスイオンを発生させる放射性鉱石粉末 イオン化 混和材 を混ぜ合わせたマイナスイオンによる室内の空気清 浄性能も評価する。 なお、 比較対象として水酸化カルシウム を主成分とした珪藻土と日本伝統の本漆喰を使用する。以上 により、本研究では建設副産物であるケイ酸カルシウム系粉 体を使用した乾式漆喰パネルの開発を目指す。以後、この漆 喰をゾノトライト漆喰と呼ぶ。

2.研究の方法

表 1 に研究の流れ、表 2 に各種漆喰の漆喰調合、表 3 に試 験体概要、表 4 に実験要因 と水準、表 5 に実験方法を示す。 まず、乾式漆喰パネル試験体を複数作製し、作製した試験体 で調湿、 VOC、 臭いの機能性能評価試験と表面粗さ測定を行 う 3 。最後に、ゾノトライト漆喰 のマイナスイオン試験と して 鉱石用テスタ―によるマイナスイオン濃度の測定、 方向 別マイナスイオン放散範囲測定、湿度別マイナスイオン放散 濃度測定を行う。

3.想定される結論とその研究が果たす社会的貢献度

1)下地 により漆喰の表面状態に違いが現れ、調湿 性能に 大き く 影響する。
2)廃棄微粉末を主成分としたゾノトライト漆喰 には、本 漆喰 、 珪藻土と同程度の VOC除去性能、臭い除去性 能、調湿性能 がある。
3)イオン化混和材を塗り壁材に混ぜることで、幅広くマイナ ス イオンを放出することが出来る。
4)試験体の放湿時にはマイナスイオン放散量は少なく、吸湿 時 には多くなる。
5)今研究では乾式漆喰パネルの空気質改善評価を行った。今 後 は漆喰の付着強度など、乾式パネルの研究を進める。

4.研究成果
1)小山建斗他,ゾノトライト系廃棄粉末と天然鉱石粉末混和材を含有した乾式漆喰 パネルの空気質改善効果 2022年度 日本建築学会関東支部研究報告集,CD-ROM, 2023.3
2)小山建斗他,ゾノトライト系廃棄粉末と天然鉱石粉末混和材を含有した乾式漆喰 パネルの空気質改善効果 工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2022.3