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研究概要: 建物は、常に日射や雨による乾湿繰り返しの作用が生 じ、特に、異種材料が繋がる境界部は、その影響による 漏水等の影響 1)2)3) を受けやすいといえる。 乾式外壁材のジョイント部を例にすると、紫外線や雨 水、ムーブメント等の要因によりシーリング材の劣化が 進みやすい点が挙げられる。また、屋上部ではアスファ ルトや合成樹脂系の液体による防水工法やシート系の防 水工法があるが、非木造の大型建築の場合、屋上耐火の 条件により基材となる金属薄鋼板を複合的に用いる場合 がある点に着目した。なお、後者については、接合処理 のつなぎ目が、金属薄鋼板屋根防水シート材をロール化 した場合、長期的な変形によりたわむ可能性があり、そ の境界部からの漏水による屋根下地の劣化が進むと、防 水性の機能を損 なうことがある。 そこで本研究では、表 1 に示す通り 2 つの研究対象を 設けた。研究 1 では、乾式工法の外壁部に関して、 ECP パ ネルの 2 次シーリング材でとして主に用いられるガスケ ットの経年変化のメカニズムを検証するために ECP パネ ルを実大施工 し 4)5) 、壁の角度やガスケット種類、施工条 件の違いを与え、材料劣化状況について半年間 夏 冬 の 暴露、環境の違いを評価し、開口部の漏水に影響するか を検討する。 研究 2 では、実際に約 10 年非木造建物に使用された 屋上部材が、漏水を伴う変形が進んだため、耐火・防水 保護面材を切削して 採取し、残留した反り、歪みを測定 して、変形性状や劣化度を測定し、屋根材としての機能 保持性を検証する。以上により、非木造建物の外壁・屋 上に使用される主要構造部位材料について、その劣化度 評価と健全性の保持状態を検討する。
2.研究の方法 表 1 に本研究対象を示し、表 2 に使用材料を示す。本 学八王子キャンパス 11 号館実験棟の屋上にて、外壁を 模した押出成形セメント板 以下、 ECP) に、試験対象とな るガスケットを 2 次シーリングとして装着し、屋外暴 露試験を実施する。これより、温度・日照等の外的要因 に よる劣化の他に、ガスケットそのものの経年変化が生 じ る可能性を検討する。また、壁面角度は一般的な壁を 想定した 90° の他、促進条件となる 30° の 2 種類とす る。指定した暴露期間が終了したガスケットは採取し、 一定の物性試験により経年変化について評価を行う。 3.想定される結論とその研究が果たす社会的貢献度 1) 暴露期間が長かった影響している可能性があるが、 1次シールあり、なしに関わらず、最大点応力では、 冬の方が数値が減少しているものが多いことがわ かる。 2) 最大点伸びを季節間比較すると冬の方が1次シー ルあり、なしに関わらず数値が増加しているものが 多いことが分かる。これらより暴露期間より温度に よる影響の方がガスケットに対して大きいという ことが考えられる。 3) 荷重変形特性において、 東西位置での変形挙動の 違いは大きくなく、 150×50 p 寸法の小鋼板では 変形挙動に影響を生じさせにくいことが分かった。 4) 熱変形測定において、 1E にはなく1 W のみ、表裏 が温度上昇時に片側方向に曲がり伸縮を生じた区 間が確認された。このことは、東西いずれかのロー ル端部の巻き曲率ひずみが影響している可能性が あり、その影響で屋上での反りを生じさせた可能性 が考えられ、引き続き詳細な検討が必要といえる。 5.研究成果 2)関 隆樹,
建物外壁部・屋上部の劣化度評価と健全性の保持条件に関する検討 日本建築学会関東支部研究報告集, 工学院大学卒業論文,CD-ROM,
2023.3 |
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