砂川才樹(サイキ)



研究テーマ:

屋外床用石材における歩行特性を意識した汚れ量・印象評価と清 掃管理による品質改善特性

研究概要:

1.研究の目的

今まで国内では、時代の変化に合わせ、陳腐化した 建物を壊し、建物を新しく建て替える、スクラップアン ドビルドの建設手法を数多くとってきたため、建築後の 管理については十分に考えられていなかった。現在は、 ストック型社会で清掃を含めたメンテナンスを定期的に 行い、建物を長寿命化する必要性が高まっている。 本研究では大規模鉄道施設で床材に使用される石材の 汚れ量と使用者印象の相関の調査、歩行量と汚れ量の相 関の調査および清掃による品質改善特性の調査1)を行い 適切な清掃管理によるメンテナンス方法の提案を図る。

2.研究の方法

図1 に研究の流れ、表1、2 に実験方法および汚し試 験体の作成に使用した材料および使用した測定機器を示 す。研究1?3 は2021 年度に実施した先行研究1)の内容 である。実験に用いる石材の大きさは450mm×450mm で種 類は黒色系(以下花崗岩B)・白色系(以下花崗岩W)の 2種類を用いる。それぞれの花崗岩は本磨き仕上げ・水 磨き仕上げ・ジェットバーナー仕上げ(以下JB)の3種類 で汚れの程度を3段階に分けた計18 種類の試験体を作 製した。汚れの再現には新松煙墨を水に溶かした水溶液 を使用した。 研究4では当該データをもとに、表1b)?d)の各種測定 値と官能検査結果の相関を調査する。研究5 では黒土を 用いて実際に石材上を歩行することで汚し試験体を作製 しており、研究1?3の墨による定量化した汚れ量では なく歩行回数に比例した汚れ段階を設け、汚れの評価を 行なった。

3.想定される結論とその研究が果たす社会的貢献度

1)印象評価では汚れ量の増加に伴い評価が下がっており、 測定値も概ね同じ傾向が見られるが、L*値に関しては 値が下がっているものの全体的に変化が小さく評価の 基準とすることは難しいことがわかった。
2)各石材の汚し前の状態に回復するまでに必要な清掃回 数を推測できた。また、その数値をふまえて石材の仕 上げにより適切な清掃方法が異なることがわかった。
3)本磨きの石材は清掃を行うと少ない清掃回数での品質 改善が期待でき、粗い石材は清掃を行なってもL*値・ 表面粗さのみに若干の品質改善は見られた。
4)必要清掃回数の値から清掃管理頻度を調整し、労務負 荷を低減できる可能性がある。

5.研究成果
1) 砂川才樹ほか,屋外床用石材における歩行特性を意識した汚れ量・印象評価と清 掃管理による品質改善特性 日本建築学会関東支部研究報告集,CD-ROM, 2023.3

2)砂川才樹,屋外床用石材における歩行特性を意識した汚れ量・印象評価と清 掃管理による品質改善特性 工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2020.3