橋本 怜旺(レオ)



研究テーマ:

鉄骨造倉庫建築物の資材製造・資材運搬段階に着目した社会シナリオ設定に基づく CO.排出量の評価・削減対策の検証

 

研究概要:

1.研究の目的

全世界で温室効果ガスは2020 年時点で約317 億トン 排出され、日本国内では約10 億トンである。 そのうち 約90%を二酸化炭素(以下、CO.)が占め、この物質の 大気中への放出が人間の諸活動に起因しているというこ とは言うまでもなく、近年日本国内でそれを改善させる 取り組みが活発化するなかで、建築業界としてもこの排 出量削減に取り組むことは必須である。 本研究では近年建設需要が高まり重要な物流拠点であ る鉄骨造倉庫建築物のCO.の排出について、その評価基 準としてJIS Q 14064-1(組織における温室効果ガスの排 出・吸収量の定量化及び報告のための仕様と手引)に基 づいて把握し、CO.排出割合をISO 21930(以下、国際規 格)に従って示し、環境影響を分析する。

2.研究の方法

対象建物の基本情報を表1及び図1に示す。製品のラ イフサイクル(以下、LC)を環境の観点から定量的に評 価するライフサイクルアセスメント(以下、LCA)では、 建築資材に対するLCAの国際規格として図2に示すもの があり、LCフェイズの詳細を複数段階で整理している。 本研究では、特に国際規格で分類された段階のA1-A3(資 材製造段階環境負荷)とA4-A5(施工に伴うCO.環境負荷) に着目し、建設段階の総CO.排出量を算出する。資材単位 の排出量を可視化しサプライチェーン(以下SC)のなか で占める割合を明確にし、カーボンフットプリント(CFP) の事例報告とする。。

3.想定される結論とその研究が果たす社会的貢献度

本研究により、以下の知見が得られた。
本建築物に投入される資材の総重量は31,100 t で、 最も多いのは鉄筋コンクリートの約23,000 t であ る。

2) 本建築物の資材製造段階(A1-A3)からのCO.排出量 は約12,366 t で、鉄筋コンクリート、鉄骨、杭な どの主要構造部から10,000 t が排出される。

3) 単位重量当たりの排出量では内外装材のそれが主 要構造材よりも大きい。

4) 建築業界における脱炭素化の流れを予測し、6 つの シナリオを検討した。

5) シナリオ毎に資材の置き換えによるCO.排出削減方 策を検討し、最も良いシナリオでは最大で約54%の CO.排出を抑えることが可能であると確認した。

6) 増加コスト当たりのCO.削減は鉄骨材の電炉化が 最も効率的で、1万円当たり約4.3 CO.を削減可能。

5.研究成果
1)橋本、田村ら,鉄骨造倉庫建築物のライフサイクル 環境影あ響に着目したSC 分析に基づくCFP 評価, 日本建築学会関東支部研究発表会

2)橋本、鉄骨造倉庫建築物の資材製造・資材運搬段階に着目した社会シナリオ設定に基づく CO.排出量の評価・削減対策の検証 工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2023.3