|
|
|
|
|
研究概要: 伝統的建造物では白木や漆塗仕上げが一般的であるが、木 材は火に弱く、災害時には即時の延焼防止対策が重要である。 文化財等伝統的建造物の延焼防止を目的として開発された 高粘度液体は対象物に付着後乾燥すると白濁膜が析出する が、この白濁膜は一定時間湿潤させて元のジェル状に近い状 態に戻し除去が可能である。 今回は対象を文化財建造物とその内部に保管される国宝 級の乾漆仏像などの漆塗の美術工芸品に広げ、漆塗り表面に 高粘度液体が付着した場合、表面形状や粗さの違いにより白 濁膜が目立つことが問題となるとし、漆塗り表面の白濁膜除 去に関する研究を継続展開した。 具体的には、文化財建築と文化財乾漆仏像などに使用する 漆塗の塗装工程調査を行い、次に作製した漆塗試験体を用い 既存劣化外壁や乾漆仏像などを想定した凹凸のある面に対 する除去効果の影響を確認し、より効果的な除去方法を検討 した。また、高粘度液体を塗布した劣化漆表面に漆塗り修復 を行い原状回復の方法を検討した。。 2.研究の方法 。漆試験体に規定量の高粘度液体を塗布し乾燥後、 白濁膜を湿潤させ、拭取りを行う。観察後、色差や明度 等を計測するにあたり、研究前後で比較できるように計 測器のセンサ部の大きさ(φ25mm)を考慮して高粘度液 体を塗布しない部分(赤枠:非塗布部N)を作る。高粘度 液体塗布部でも、湿潤と拭取りをしない白濁膜残存部(青 枠:塗布部)(P)と拭取り部(緑枠:塗布後拭取り部)(L)に 分ける。拭取りは大きさ60mm×90mm の重りで荷重をか け、短辺方向に対して行う。荷重は既往研究 (500g/15×20mm)に準じ9000g とする。拭取り中の漆塗り 面への面圧が変化しないよう漆試験体と同じ高さの台を 横並びに設置し、所定以上の荷重が加わらないようにガ ーゼを横に引き拭取りを行う 3.想定される結論とその研究が果たす社会的貢献度 本研究で以下のことが明らかとなった。 1) 今回の条件において劣化模擬サンプルの白濁膜除去後 の表面状態は、塗布前と同様には戻らず新たな除去方 法の開発が必要となる。 2) しかし、表面粗さの測定結果と漆塗り職人の官能検査 及びヒアリング結果から問題なく修復を行うことが可 能であることがわかった。 5.研究成果 2) 田村,水野,松永ら,高粘度液体による延焼抑制技術の漆塗 り建材への適用性評価と原状回復技術の開発 その1,日本 火災学会(青森),2023.5 3) 横山,田村,青山ら,乾漆像を備えた遺産的建造物への延焼 抑制技術における高粘度液体塗布後の原状回復技術の開発, 日本建築仕上学会(岐阜),2024.10 4) 横山,田村,青山ら,Restoration the Urushi Finishing after Using Water gel for Preventing Fire Spreading,ISAT-23,2024.11 5)横山,乾漆像を備えた遺産的建造物への延焼
抑制技術における高粘度液体塗布後の原状回復技術の開発工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2023.3 |
|
|