岩手・岩手銀行(旧盛岡銀行)旧本店本館 (岩手銀行赤レンガ館:国指定重要文化財)

担当: 木造レンガ積層仕上げ構造の木摺り漆喰天井部の改修設計・剥落防止工事
実施: 2016年改修(竣工:1911年)
体制: 岩手銀行、文化財保存計画協会、工学院大学後藤研・田村研(担当:M2岡健太郎)、樹
場所: 岩手県盛岡市内
概要:
本建物は東京駅の設計でも知られる、辰野・葛西建築設計事務所によるもので、辰野金吾が設計した建築としては東北地方に唯一残る作品といえる。1911(明治44)年に盛岡銀行の本店として落成し、1936年に現在の岩手銀行がこの建物を譲り受けた。2011年の東日本大震災により、建物全体が劣化外力を受け、木造レンガ積層仕上げ構造の1階天井部にあたる木摺り漆喰天井部に明瞭なクラックが入り、剥離・剥落の危険性が高まった状態となった。そのまま使用することは困難であったため、1度は漆喰全体部のはつりによる復元も検討されたが、東京駅と同時代の歴史性を有していること等により、保存修復方法の検討を図る事になった。田村研では、当該部位の補修を念頭に、漆喰部等の面体部のひび割れ補修に関する特許工法を開発し、最終的に特許を取得の検討を進めながら当該技術の自主利用により、大面積に生じた漆喰部のひび割れを麻縄による裏面からの連結接続によるフェールセーフ方式の補修を行った上で、全天井面のひび割れ部を補修し、現在ある天井面の保存再生を実現した。

関連Web:
https://www.iwagin-akarengakan.jp/redbrick/index.html
www.ns.kogakuin.ac.jp/~dt40009/tamura/member/obog2015/oka/okaken.htm