「工学院」と「東京工科」


工学院大学の専門学校である「工学院大学専門学校」は平成18年度より学生募集を停止している.
現在「工学院」と名のつく専門学校はすべて本学とは無関係である.
これはよく尋ねられることなので,いっそのこと表を作ってみた.
特に,CMなどでお馴染みの「日本工学院」は, 東京工科大学と同じ設立母体である.
設立母体 大学 専門学校
学校法人田中育英会 なし 東京工学院専門学校(東京・小金井市)
学校法人扶桑山田学園 なし 横浜システム工学院専門学校(神奈川・横浜市)
学校法人片柳学園 東京工科大学(東京・八王子市) 日本工学院専門学校(東京・大田区)
日本工学院八王子専門学校(東京・八王子市)
日本工学院北海道専門学校(北海道・登別市)
学校法人電波学園 愛知工科大学(愛知・蒲郡市) 名古屋工学院専門学校(愛知・名古屋市)
学校法人古沢学園 なし 広島工学院大学校(広島・安芸市)
学校法人川島学園 なし 鹿児島工学院専門学校(鹿児島市)
2008.7.2

「工学院」と「東京工科」との関係

(昭和)24年,新制大学になって「工学院」は「工学院大学」となったが,
この時,野口尚一学長は校名に固有名詞「東京」を冠した 「東京工科大学」を文部省に申請したが,
「東京工業大学」と類似しているという理由で当局が難色を示し,
結局,断念のやむなきにいたった経緯がある.

その後も,校名変更の意思は学内にくすぶり続け,昭和33年ごろには「築地工業大学」」という案も浮上した.

そして,学園将来計画が動き出すなかで, 新しい大学のイメージ形成の核として校名変更問題が浮上し,
57年3月の教授総会で, 大学の校名をふたたび「東京工科大学」に変更する案件が可決された.

校名変更の理由
  1. 「電子工学院」「東京工学院」など類似名称の各種学校が現れた.
  2. 工学院は,台湾では工学部という意味
    したがって,本学の台湾校友会は「東京工学院大学校友会」と称している.
    上海工学院でわかるように工学院は単なる 普通名詞である.
  3. 国学院大学と発音が似ていて混同される.
  4. 大学名が堅く,学園のイメージアップに不適当.都市型学園を めざすにしては,名前がそぐわない.
教授総会で校名変更が決定されたものの,
校名変更は,寄付行為の改定を伴うから当然,理事会,評議員会の議決,
また校友会,顧問団,教職員組合,学生自治会など学園構成者による全学的な合意が必要である.
そこで,各構成者に対する意見聴取が行われた.
全体として校名変更に対して「賛成」が多数を占めたが,
校友会,顧問のなかには反対意見もみられた.(略)
結局,全学的な合意を得るには時期尚早として, 校名変更は見送られることになった.

校名の他の案

「東京工科大学」の他,「新都心大学」「東京新宿大学」「東京学院大学」「東京都市大学」「東京技術科学大学」など.

(以上,工学院大学学園百年史から抜粋.太字強調は私が勝手に施した.)

上のような経緯があったらしいが…
昭和61年(1986年),なぜか「東京工科大学」が誕生した.
よりによって八王子に誕生した.
よりによって設立母体は「日本工学院専門学校」の片柳学園であった.

「工学院大学」に至るまで

(以下,工学院大学学園百年史から抜粋)

1887年(明治20年),「工手学校」設立.

工手学校設立趣意書

工業の隆盛を謀るには,学術の応用きわめて緊要なり.
現今 我国の工業稍々隆盛の機運に向ひ,
鉄道敷設,鉱山採掘,其田造船,建築,電気, 舎密製造等数多の事業国内各所に興起し,
是等の事業に必須なる技術者を要すること頗る多きに至りしは,
畢竟工業は応用を候て始て完成の結果を得べきが故なり.

而るに今我国の有様にては,技術者養成の学塾甚だ尠く,
一二官立学校に於ては,高尚なる技師を養成するに十分なるも,
各専門技師の補助たるべき工手を養成する学校に至りては, 亦一校の設置あるなし.
ゆえに工業家に於ては,補助工手の供給なきに苦しみ,
勢ひ学術応用の思想に乏しき者を以て,彼の高尚なる技師の補助と為さざる得ず.
為に技師は使役に不便を感ずるのみならず,結局, 工業家の不利益を来すものにて,
即ち我国工業進歩の一大障碍を与ふるものと云ふべし.
是れ余輩の最も遺憾とする所なり.

因て茲に一の工業学校を設立し,
学科を土木,機械,電工,造家,造船,採鉱,冶金,製造舎密の八学科をに分ち,
世間有志の子弟又は昼間各工場に使雇せらるる工手,職工等に就学を許し,
授業方法は専ら速成を旨とし,所謂補助工手を養成し, 以て我国工業の隆盛を企図す.
茲に聊か記して本校設立の主旨を陳ると云爾.

工手学校創立についての詳細は
工学院大学学園百年史「第1章 工手学校の創立」

1928年(昭和3年),「工学院」へ改称.

校名変更の届出

従来工手学校の工手なる名称は,程度の低きものと解され易かりしが如し.
しかうしてこれ本校教授程度の実際は,本科第1期への入学資格は中学卒業程度を標準とし,
これに1ヵ年半の専門教育を施し,高等科の設けある学科にありては,なほ1ヵ年の教育を授く.
よつてその程度は実業学校以上にあり.今般修業年限を延長し,
内容充実を図りしを機とし,校名を「工学院」と変更する.

1949年(昭和24年),「工学院大学」設立.

工学院大学の目的と使命

本学は教育基本法及び学校教育法に則り,
大学として広く知識を授けるとともに,
工学に関する高等理論とその応用を教授並びに攻究するのが目的で,
特に工場及び研究所との連繁を密にし,
社会人としての良識と 専門技術に対する適正な理論と判断とを有し,
工業の実地に直接役立つ技術者を育成するを特色とする.

工学院大学設置趣意書

(前略)幸いにして極めて有力な一流の専任教授を多数迎えることが出来,
大学設置上最も難関とされて居る教授陣容が確立し,
他に見られない立派な陣容であります.

また,当教授陣の一致した意見として,
学校工場,出版業,研究委託, 検定等,文化建設に貢献する凡ゆる事業を工夫し,
其収入を以て本大学の経営に努力し,自立の道を講じ, 毅然たる大学にする計画でありますから,
ご指導ご援助を切望いたします.

建物と設備及び現在の工専組織の関係上,
初年度に於いては機械工学科と 工業化学科の2科からなる昼間新制大学設置を申請するのですが,
吾々の理想は準備を充実するに連れ,電気,土木,建築をはじめ, 漸次他の科を増設し,
尚日本には未だ現存していない夜間工業大学 を設け,
他に類のない特徴ある一大単価工業大学にすることであります(後略).

2005.3.9