講義関係のお知らせ
工学院大学共通課程物理学教室 岡村 浩
§ケプラ−問題
テキストp.167〜169参照
テキストp.185〜188参照
[練習]単振動の解き方
F =−kx
mα =−kx
m(d/dt)v =−kx
両辺にvをかけて
mv(d/dt)v=−kxv
mv(d/dt)v=−kx(d/dt)x
ここで
K =(1/2)mv2とおくと
(d/dt)K =mv(d/dt)v
また
(d/dt)((1/2)kx2)=kx(d/dt)x
∴
(d/dt)((1/2)mv2)=−(d/dt)((1/2)kx2)
∴
(1/2)mv2=−(1/2)kx2+E Eは定数
k =mω2
E =(1/2)mω2A2
とおく。(秘伝)
(1/2)mv2=−(1/2)mω2x2+(1/2)mω2A2
v2 =−ω2x2+ω2A2
= ω2(A2−x2)
v2≧0であるから −A≦x≦A
t=0でx=Aとする。xは減少を始めるから
v =−ω (A2−x2)1/2
x=−Aに到達するとvの符号は逆転して、
v = ω (A2−x2)1/2
となりx=Aにもどるまで続く。
x = A→−Aの場合を考える。
(d/dt)x =−ω (A2−x2)1/2
dx
――――――――――――― = − ωdt
(A2−x2)1/2
ここで
x = Acosθ
とおく。
注意)A2−x2≧0より、−a≦x≦aだからx=Acosθとおいて
xのすべての値をつくしている。
こうおくと分母の中がきれいになる。また、θ=0でx=A,θ=πでx=−A
x =A→−Aがθ=0→π
x =−A→Aがθ=π→2πに対応する。
dx =−Asinθdθ
A2−x2=A2−A2 cos2θ
=A2 sin2 θ
(A2−x2)1/2 =Asinθ
θ=0→πではsinθ≧0だから+
∴
−Asinθdθ
――――――――=−ωdt
sinθ
dθ = ωdt
x=−A→Aはθ=π→2πに対応し、
同様にこの式が成立する。
θ = ωt+C
この定数C=0である。
x =Acosωt
一般解は
x =Acos(ωt+δ)
[註] 秩iA2−x2 )−1/2dx= sin−1(x/A)+定数
という公式の証明。x=Asinθとおくと同様にできる。
[ケプラ−問題]
太陽系で、太陽と惑星の間に(距離)−2の力
(万有引力)がはたらくとして、
ケプラーの3法則
(1)楕円軌道
(2)面積速度一定
(3)T2 がa3に比例する。(但しTは周期、aは軌道の長半軸)
を導く。
角運動量の保存則のおかげで、平面運動を考えれば十分である。
z=0とする。
いくつか方法があるが、ここでは、
(1)(1/2)mv2−k/r=E
(2)mr2 dφ/dt =M
の二つの保存則から導く。(2)はそのまま面積速度一定の法則に
つながる。
(1/2)v2 − (k/m)/r = E/m
r2 dφ/dt=M/m
ここで(k/m)をk、E/mをE,M/mをMをE
と略して議論を進める。
m=1の場合を考えていると言っても良い。
必要があれば、これからでてきた結果の式の中で、
k,E,Mを各々k/m,E/m,M/mとすれば
m≠1の場合の一般の式が得られる。
(1/2)v2 − k/r = E
r =(x2+y2)1/2
x =rcos φ
y =rsin φ
(dx/dt)=(dr/dt)cosφ−rsinφ(dφ/dt)
(dy/dt)=(dr/dt)sinφ+rcosφ(dφ/dt)
v2 =(dx/dt)2 + (dy/dt)2
={(dr/dt)cosφ−rsinφ(dφ/dt)}2
+{(dr/dt)sinφ+rcosφ(dφ/dt)}2
=(dr/dt)2cos2 φ
−2r(dr/dt)(dφ/dt)(cosφsinφ)
+ r2(dφ/dt)2sin2φ
(dr/dt)2sin2 φ
+2r(dr/dt)(dφ/dt)(cosφsinφ)
+r2(dφ/dt)2cos2φ
=(dr/dt)2 (cos2 φ+sin2 φ)
+2r(dr/dt)(dφ/dt)(cosφsinφ−cosφsinφ)
+r2(dφ/dt)2(cos2 φ+sin2 φ)
=(dr/dt)2+r2(dφ/dt)2
(噤jcos2 φ + sin2 φ =1)
よって
(1/2){(dr/dt)2 +r2(dφ/dt)2}−k/r=E
エネルギ−の保存則
一方
dφ/dt=M/r2
∴
(1/2)(dr/dt)2 +(1/2)M2 /r2−k/r=E
これは
(1/2)(dr/dt)2 +U有効=E
の形に書ける。但しU有効=(1/2)M2/r2 −k/r
これはr→0で∞であり、r→∞で0である。このことから、
E≧0の場合は、rはある値以上である。
E<0の場合は、rはある値とある値の中間の値をとる。
さて、
(dr/dt)2=2(E+k/r)−M2/r2
(dr/dt)={2(E+k/r)−M2/r2}1/2
但しdr/dt>0のとき、
t=0でr=rmin であり、これからrはrmaxまで増加する。
その期間について考えている。
r=rmax →rminでは逆符号。
dφ/dt =M/r2
まず軌道を求める。
dr/dt=(dr/dφ)(dφ/dt)
より
dr/dφ=(dr/dt)/(dφ/dt)
dr {2(E+k/r)−M2/r2}1/2
―― =―――――――――――――――――――――――――
dφ M/r2
M/r2 dr
―――――――――――――――――――――――――――――――― =dφ
{2(E+k/r)−M2/r2}1/2
u=1/rとおく。
du/dr=−1/r2
du=−1/r2 dr
−Mdu
――――――――――――――――――――――――――――――― =dφ
{2(E+ku)−M2 u2}1/2
−du
―――――――――――――――――――――――――――――――――― =dφ
{2(E+ku)/M2 − u2}1/2
−du
―――――――――――――――――――――――――――――――――― =dφ
{2E/M2+2ku/M2 − u2}1/2
−du
―――――――――――――――――――――――――――――───―― =dφ
{2E/M2+k2/M4 −(u−k/M2)2}1/2
両辺を積分するのであるが、
∫−(A2−x2)-1/2dx=Arccos(x/a)+C
がなじみがないといけないので、天下りだが、次のようにおく。
注意)左辺の分母の{ }の中が0以上であることから、
−(2E/M2+k2/M4)1/2
≦u−k/M2
≦(2E/M2+k2/M4)1/2
が成立している。
u−k/M2=(2E/M2+k2/M4)1/2cosθとおく。
すると
du =(2E/M2+k2/M4)(1/2)(−sinθ)dθ
∴
−(2E/M2+k2/M4)1/2(−sinθ)dθ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――=dφ
(2E/M2+k2/M4)1/2(1−cos2 θ)1/2
r=rmin→rmaxはθ=0→πに対応し、そのときsinθ>0だから
(1−cos2θ)1/2=sinθ
r=rmax→rminはθ=π→2πに対応し、そのときはdr/dtの符号が逆転し、同時に
(1−cos2θ)1/2=−sinθが成立する。
なぜならsinθ<0
∴
dθ=dφ どちらの場合も成立する。
∴
θ=φ+定数 定数=0と選ぶと θ=φ
∴
u−k/M2=(2E/M2+k2 /M4)1/2cosφ
これで、積分が実行できたことになる。
u=k/M2+(2E/M2+k2 /M4)1/2cosφ
=k/M2[1+{1+2EM2/k2}1/2 cosφ]
そこで
e= (1+2EM2/k2)1/2:離心率(eccentricity)
とおく。
u=(k/M2)(1 + e cos φ)
さらに
A=M2/k とおけば
A
r=――――――――
1+e cosφ
E>0 e>1 双曲線
E=0 e=1 放物線
E<0 0≦e<1 楕円
特に e=0 円 E=−(1/2)k2/M2
これは前述のU有効の最小値である。
[ケプラ−の第1法則]
以下はE<0の場合を考える。
E<0 だから E=−|E|
φ=0 で cosφ= 1 r=A/(1+e) 最小
φ=π で cosφ=−1 r=A/(1−e) 最大
(1/2)A{1/(1+e) +1/(1−e)}=A/(1−e2)
a=A/(1−e2) これが楕円の長半軸である。
A=M2/k ,1−e2=−2EM2/k2=2|E|M2/k2
a=(M2/k)/(2|E|M2/k2)
=(k/2)|E|−1
a はMによらないことに注意
E=−(1/2)(k/a)
(E=−|E|)
短半軸bは
b=A/ (1−e2)1/2 [補足]を見よ。
=A1/2{A/ (1−e2)}1/2
=(M2/k)1/2a1/2
= (M/k1/2)a1/2
[ケプラ−の第2法則]
ケプラーの第2法則は角運動量の保存則から導かれる。
r2(dφ/dt)=M
(1/2)rdφ/dt=M/2
これが面積速度である。
[ケプラーの第3法則]
これを利用して周期Tを手軽に求めることができる。
(1/2)r2dφ=(M/2)dt
両辺を1周期にわたって積分する。
左辺はφを0から2πまで積分、右辺はtを0から周期Tまで積分する。
左辺は 楕円の面積 πabになる。
右辺は (M/2)T
したがって
(M/2)T=πab
T=(2/M)πab
=(2π/M)a(M/k1/2)a1/2
=(2π/k1/2)a3/2
これがケプラ−の第3法則である。
k=GM
Gは万有引力定数
Mは太陽の質量
aを地球の公転の長半軸とすればTは1年となる。
Mを地球の質量、aを月の公転の長半軸とすればTは1月となる。
いろんな惑星や衛星について、数値的に確かめてみよ。
[補足]
A
r=――――――――
1+ecosφ
r(1+ecosφ)=A
r+ex=A
r=A−ex
r2=(A−ex)2
x2+y2=(A−ex)2
=A2−2eAx+e2 x2
(1−e2)x2+2eAx+y2=A2
e=1とすると
2Ax+y2=A2だからx=(1/2)A−(1/2A)y2
で放物線
e≠1とする。
(1−e2){x+eA/(1−e2)}2+y2
=A2+e2A2/(1−e2)
=A2(1−e2+e2)/(1−e2)
=A2/(1−e2)
(1−e2)2{x+eA/(1−e2)}2+(1−e2)y2=A2
∴
{x+eA/(1−e2)}2 y2
―――――――――――――― + ――――――――――――― =1
{ A/(1−e2) }2 {A/(1−e2)(1/2)}2
これが楕円の標準形で、
長半軸は A/(1−e2),
短半軸は A/(1−e2)1/2
楕円の中心はeA/(1−e2)だけ左にずれる。
[補足]r=r(t)を求めるにはパラメタ表示を使う。
dr/dt={2(E+k/r)−M2 /r2}1/2
dr
dt= ―――――――――――――――――――――――――――――
{2(E+k/r)−M2/r2}1/2
rdr
= ―――――――――――――――――――――――――――――
{2(−|E|r2 +kr)−M2}1/2
rdr
= ――――――――――――――――――――――――――――――――
[2|E|{−r2+(k/|E|)r}−M2/2|E|}]1/2
{(2|E|}1/2 dt
rdr
=―――――――――――――――――――――――――――――――――――
[{−r2+(k/|E|)r}−M2/2|E|]1/2
rdr
=――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[−{r−(k/2│E│)}2−M2/2|E|+k2/4|E|2]1/2
rdr
=―――――――――――――――――――――――――――――――――――
[−{r−(k/2|E|)}2+k2/4|E|2(1−2M2|E|/k2]1/2
rdr
=―――――――――――――――――――――
[−{r−a)2+a2e2]1/2
メモ
e=(1−2|E|M2/k2)1/2,
a=(k/2|E|)
そこでr−a=−aecosχとおく !
r=a(1−ecosχ) χ=0で最小、χ=πで最大
dr=aesinχdχ
[−(r−a)2+a2e2]1/2
=ae(1−cos2χ)1/2
=aesinχ
∴
a(1−ecosχ)(aesinχdχ)
―――――――――――――――――――――={2|E|}1/2 dt
aesinχ
a(1−ecosχ)dχ={2|E|}1/2dt
∴
a(χ−esinχ)={2|E|}1/2t
r=a(1−ecosχ)
t=(2|E|)−1/2 a(χ−esinχ)
χ=0でt=0
t= (k/a)−1/2a(χ−esinχ)
= a3/2/k1/2(χ−esinχ)
まとめて
r=a(1−ecosχ)
t=a3/2/k1/2(χ−esinχ)
r=r(t)はχを通じて間接的に決められる。
χが2πだけ変化すると1周期
T= 2πa3/2/k1/2
t=(T/2π)(χ−esinχ)
そこで ω=2π/T
とおくと
ωt=χ−esinχ
これをケプラーの公式という。
[補足]有効ポテンシャル
(1/2)(dr/dt)2 +(1/2)M2 /r2−k/r=E
これは
(1/2)(dr/dt)2 +U有効(r)=E
の形に書ける。但しU有効(r)=(1/2)M2/r2 −k/r
これはr→0で∞であり、r→∞で0である。このことから、
E≧0の場合は、rはある値以上である。
E<0の場合は、rはある値とある値の中間の値をとる。
本文のこの部分をくわしく説明する。
(1)U有効の最小値
u=1/rについて計算した方がわかりやすい。
U有効(u)=(1/2)M2 u2 −ku
dU有効(u)/du=M2 u−k=0
より
u=k/M2
のときが最小で、
そのとき
U有効=(1/2)M2(k/M2)2−k(k/M2)
=(−1/2)k2 /M2
即ち、E≧(−1/2)k2 /M2 が必要で、
E=(−1/2)k2 /M2の時には、
u=k/M2,r=M2/kで一定である。
円運動となる。実際この時離心率eが0となる。
(2)rの範囲
E≧(−1/2)k2 /M2とする。
uの範囲は
U有効(u)=Eの根からわかる。
(1/2)M2 u2 −ku=E
u2−(2k/M2)u=2E/M2
(u−k/M2)2=2E/M2 +k2/M4
u=k/M2±(2E/M2 +k2/M4)1/2
=(k/M2){1±(1+2EM2/k2)1/2}
=(k/M2)(1±e)
ここでe=(1+2EM2/k2)1/2
は離心率である。
結果が本文と一致しているが、計算の経過を見ると一致するのが自然なことが
わかるだろう。E=−(1/2)(k2/M2)のとき、e=0となる。
r=(M2/k)/(1±e)
A=M2/kとおけば、
r=A/(1±e)
A/(1+e)≦r≦A/(1−e)
楕円軌道は本文だが、rの範囲程度は有効ポテンシャルからわかる。
E≧0の場合に放物線、双曲線となることも理解できる。
[問]原点r=0が楕円の焦点であることを証明せよ。
(ヒント もうひとつの焦点は(−2eA/(1−e2),0)の点である。)
楕円上の1点と、もうひとつの焦点との間の距離をr’とする。
(r’)2=[Acosφ/(1+ecosφ)+2eA/(1−e2)]2
+[Asinφ/(1+ecosφ)]2
sin2 φ=1−cos2 φによって整理すると、因数分解できて
1 + e2 + 2ecosφ
r’=―――――――――――――――――A
(1+ecosφ)(1−e2)
が証明できる。
r+r’=2a
[問]e=1のとき放物線、e>1のとき双曲線となることを確かめよ。
[問]長半軸a短半軸bの楕円の面積がπabであることを証明せよ。
(ヒント
半径aの円の面積はπa2 、このときy=±(a2 −x2 )1/2
今の場合は y=±(b/a)(a2 −x2 )1/2
したがって面積は(b/a)倍になる。
[問]U有効(r)=M2/2mr2−k/rの最小値を求めよ。
Eがこの値をとるとき、円軌道になる。
[問]z=−k(x2 + y2 )−1で表される斜面があったとしよう。
その場合に、重力F =−mg がはたらくとすると、
その運動は今考えている運動と似ているであろう。
なんらかの意味でまったく同じであろうか。それとも近似的に似ているだけであろうか。
[問]ケプラーの第3法則を実際の惑星の値で確かめよ。
ハレー彗星はどうか。
[問]ケプラー問題をパソコンで数値的に解き、それをグラフィックスで表せ。
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