光学式モーションキャプチャと慣性式センサを用いて,弓道動作中の右肘屈曲角を推定し, 射形評価や技能支援に活用することを目指しています。
弓道では,「引分け」から「会」にかけての姿勢が射の安定性に大きく関わります。 特に右肘の位置や屈曲角は,弓を引く動作の再現性やフォーム評価において重要な要素です。
しかし,指導現場では動作の評価が経験的・主観的になりやすく, 初心者や学習者が自分の動作を客観的に振り返ることは容易ではありません。
本研究では,光学式モーションキャプチャを基準データとして用い, 慣性式センサによる右肘屈曲角の推定精度を評価します。 最終的には,弓道動作中の肘角度を安定して推定し, フォーム改善に活用できるシステムの構築を目指します。
光学式モーションキャプチャでは,身体に取り付けたマーカーの3次元座標を取得します。 取得した肩・肘・手首周辺の座標から,上腕ベクトルと前腕ベクトルを定義し, 右肘の屈曲角を算出します。
一方で,慣性式センサでは装着したセンサから関節角度を取得します。 両者の角度波形を同期し,誤差を評価することで, 慣性式センサによる推定が弓道動作に適用可能かを検討します。
現段階では,弓道動作を対象とした計測環境を構築し, 光学式モーションキャプチャと慣性式センサのデータ取得を行っています。 また,右肘屈曲角の算出方法や,センサ間の同期処理,誤差評価の流れを整理しています。
今後は,複数試行・複数被験者のデータを用いて評価を行い, 弓道動作に適したマーカー配置や角度算出方法を検討していきます。
将来的には,取得した角度データをもとに,射形の特徴を可視化し, 学習者が自身のフォームを客観的に確認できる支援システムへ発展させることを目指します。 弓道指導における感覚的な評価を,データに基づく評価で補助することが本研究の展望です。