Research Overview
LLMによる再識別リスクを考慮した匿名化手法の提案
自由記述データを安全に利活用するために、匿名化手法、再識別リスクの評価、運用方法について研究している。
作成日:2026/6/29
研究背景
対象の一つとして、大学における学生支援記録などの自由記述データを想定している。2024年の合理的配慮の義務化に伴い、大学の学生支援の効率性と透明性の確保が求められている。一方で、学生支援の記録や引継ぎが担当者の個別判断に依存している場合、必要な情報の共有漏れや対応判断の遅れが生じやすく、支援の透明性の確保が課題である。学生支援記録は、支援内容の引継ぎや対応の質向上に有用である一方、個人名や所属を削除しただけでは、記録中の文脈情報から個人や属性が推測される可能性がある。
特に近年は、LLMの文脈理解・推論能力の向上により、匿名化されたデータであっても、外部情報と組み合わせることで再識別されるリスクが高まっている。そのため、氏名や所属などの直接的な識別子を削除・置換する従来の匿名化手法だけでは、十分に対応できない場合がある。AIの発展を踏まえ、匿名化データの作成・共有・評価のあり方を見直す必要がある。
研究目的
本研究では、自由記述データを安全に利活用するために、匿名化手法、再識別リスクの評価方法、運用方法について検討する。
現在の取り組み
現在は、匿名化された自由記述データに対して、LLMがどのような情報を手がかりとして推論を行うのかを分析している。これにより、再識別リスクが高くなりやすい記述の特徴や、有効な匿名化・防御方法を明らかにすることを目指している。
今後の課題
匿名化では、単に情報を削除すればよいわけではなく、支援の質向上に必要な情報をどの程度残すかも重要である。そのため、匿名性と有用性のトレードオフをどのように評価するかが今後の課題である。
- 何をもって「有用なデータ」とみなすかを整理する。
- 匿名性と有用性のバランスを評価する指標を検討する。
- データ共有時の確認手順や運用ルールを検討する。
研究概要図