気体を溶解させた高粘度バイオ燃料噴霧の改善
概要
自動車用ディーゼルエンジンには化石燃料である軽油が使用されています.
しかし化石燃料には,資源枯渇や大気汚染物質の排出などの問題があります.
そこで,これらの問題に対する解決策としてバイオ燃料の使用が求められています.
本研究では,バイオ燃料の一種であるニートバイオ燃料に着目しました.
ニートバイオ燃料は植物の種子や果肉などを搾り,固形物を取り除いた油で,
燃料に対する加工が少なく,生産コストが低いことが特徴です.
噴霧特性
ニートバイオ燃料は動粘度が高い(どろどろしている)ことが
問題点として挙げられます.動粘度が高いと,ディーゼルエンジンに
燃料として使用した際,軽油に対して噴霧特性が劣ります.噴霧特性とは
エンジン内で燃料を噴霧した際の噴霧形状の事で,以下の三点が指標となっています.
1.ペネトレーション:噴口から噴霧先端までの距離
2.噴霧角:噴霧の広がり角度
3.微粒化:液滴の細かさ
図4はニートバイオ燃料であるオレイン酸と軽油の噴霧を噴口付近で撮影した画像です.
動粘度が高いニートバイオ燃料は,軽油と比較して噴霧特性が劣っていることが読み取れます.
このような噴霧では,燃料と空気がうまく混合できません.これが原因として,
エンジン性能が劣ることや,燃料の一部が燃え残り,エンジン内部に汚れが堆積してしまう問題が
起こります.
気体の溶解
本研究では,ニートバイオ燃料の噴霧特性を軽油同等に近づけるため,
ニートバイオ燃料に気体を溶解させ,噴霧特性の改善を図る事を目的とします.
炭酸飲料は開封すると液体から泡が出てきます.このような液体を噴霧することで,
より優れた噴霧特性が得られるのではないかと考えています.
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