多チャンネル制御コントローラ
複数のチャンネル間の影響を考慮した制御
産業機械は、複数の入出力を同時に制御しなくてはなりません。ところが、チャンネル間で干渉が発生して、さまざまな問題を発生します。我々は、非干渉化制御、均一化制御、多チャンネル用のPID自動調整法を提案しています。
製品化の新聞報道より濱根洋人と東邦電子株式会社の産学連携研究チームは、多チャンネルの温度を同調制御する技術「フォロワー制御」を開発しました。この技術は温度を扱うさまざまな装置や機器に、ワンチップ化されて低コストで製品等に組み込めます。いくつかの箇所の温度変化を自動的に判別し、これに他の箇所の温度変化を同調することで、均一な温度変化が実現できます。また、機械内部の温度上昇を均一にすることから、省エネルギーのほか、材料や食品などの加熱ムラによる劣化・分解・炭化を防ぐことができるうえ、装置のセットアップが容易なため、従来セットアップの3分の2から半分の時間に短縮できるようになります。今後はオーブン調理器や成形機械など、さまざまな装置への応用が期待されています。 |
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均一化制御
Follower制御(製品化されました)
「ボタンひとつ」で複数チャンネルの軌道を、自動的に一本にまとめます。過渡時の応答を制御することで、産業機械の省エネやさまざまな操業問題を解決することができるようになります。
この図では、6チャンネルのバラバラの軌道が、1本にまとまります!
パン焼きオーブンの温度分布制御を例にすると、たくさんのメリットがあります。
メリット0) ボタンひとつでOK! いままでの設定はそのままで! 「おまかせ」で均一化。
メリット1) オーブン内のどんな所でも、同じ焼き色のパンが焼けます。 なぜなら、どの箇所の温度も同じく上昇するので、
焼きすぎを防止できます。今度は焼きすぎのパンを捨てることがなくなります。
メリット2) 温度が早く暖まった箇所はずっと待っているので、エネルギーロスでした。
今度はどの箇所も待つことがないので、省エネになります!。
メリット3) 早く温度が暖まった箇所の温度を下げようとすると、全体の温度が低くくなりパンに生焼けを生じてしまいます。
いままでは調整が難しかったものを、今度は調整が簡単になります!
メリット4) たとえ、どんなに不均一の構造をしていても、すべての箇所の温度が一緒になります!
メリット5) たとえ、どんな外乱が入っても、すべての箇所の温度が一緒になります!
![ttm200[1].jpg](../_src/sc1130/ttm2005B15D.jpg)
東邦電子 TTM200シリーズで、均一化が可能です。
成形機の場合は、以前に運転したときのバレルに残った材料が局部加熱のために炭化して製品に含まれてしまいます。そこで、成形前に、材料を無駄に流して清掃する空出し作業が必要でした。我々のFollower制御を使うと、局部加熱が無くなるので、空出し作業は必要なくなります。すなわち、材料の浪費が抑えられ、ヒータの省エネになります。また、調整も簡単になり、タクトタイム向上になります。
非干渉化制御
非干渉化PID制御
非干渉化制御は、均一化制御と異なり、複数のチャンネルを異なる目標値へ収束させる方法をいいます。従来から多くの非干渉化理論がありますが、その調整は非常に複雑でした。一方、本研究の提案法は、チャンネル毎の各コントローラが相互に通信を行い、運転中に干渉量を補正することで、 高有用な制御を実現します。応用例として、温度制御系に温度分布を簡単に作ることができます。
従来の非干渉制御理論は、チャンネル間の干渉の影響を相殺するための項をフィードバック内に導入します。これは、系の収束スピードを大幅に遅くさせ、外乱の影響も受けやすくなります。非干渉化を実現するためのPIDパラメータ空間もいままで利用していたものと異なります。産業機械には、調整が簡単で、システムの起動時間が速くしたいニーズがあります。従来の非干渉化制御では産業界のニーズを実現できないケースが多くあります。
一方、提案法は、PIDパラメータを変更する必要はなく、立ち上がりスピードは速いままで、非干渉化を達成することができます。さらには、制御対象の構造が不均一であっても、温度分布をつけることができます。上図の実験結果は、不均一の構造をもつ制御対象に非干渉化を実現した例です。ワンパラメータの調整で非干渉化と従来のPID制御の運転に切り換えることができます。
PID自動調整法
多チャンネル用の調整法
8チャンネルコントローラ多チャンネルの補償器調整法は、どのようにすればよいのでしょうか? 多チャンネルの場合は、複数台の単チャンネルコントローラを設置する場合と、写真の多チャンネル用の1つのモジュールを設置する場合があります。いずれの場合でも、多チャンネルの場合にはチューニングする順番や、どのチャンネルをロバストよりに、どのチャンネルを外乱重視に設定するかによって、全体のバランスや産業機械の特性が変わってきます。
本研究の目的は、上記の項目をかんがみて、多チャンネル用のPID調整理論を構築することです。我々のいままでの研究結果では、多チャンネルの調整法を変えることによって、機械全体の調整時間やシステムの起動時間が変わってきます。調整技師への明確な指標を提示することで、いままでに勘や経験で頼ってきた点を明らかにして、機械自身の性能を引き出します。
アドバンスト制御
我々の研究室では、アドバンスな制御を積極的に取り入れた手法も研究しています。
- マルチプルモデル適応PID制御
- PIDの運転領域を広げるために、学習理論を用いた複数のPID補償器を自動で切り換える手法を発表しました。さらに単入出力から多入出力への拡張を行いました。
- ロバスト制御理論(H∞、μ設計)による外乱オブザーバーを付加したPID制御
- PID制御だけでは補いきれない外乱抑制やモデル誤差を補助するためのオブザーバーを発表しました。スイッチひとつで、通常のPIDモードに切り換えられるため、有用性を残しています。
- モデル予測制御の計算量低減法
- 複雑な計算をするモデル予測制御の計算を低減して、ローコストのマイコンに実装できることを発表しました。プログラマブル調整計の設計例を示して、立ち上がり時間を短縮できることを明らかにしました。
- 最適計算によるPID調整法
- PID制御にロバスト制御法の考えを取り入れて、PIDパラメータ空間の最適化を行うことで、よりすぐれたPID定数を求められることを発表しました。
- むだ時間に対する制御則

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