工学院大学 宇宙物理学研究室

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宇宙物理学とは?

宇宙物理学の研究は、まさに「宇宙で起こっている現象全て」を対象にします。数学と物理学の知識はもちろんのこと、場合によっては化学・地学・生物学といった、自然科学のあらゆる知識を基にして、宇宙における様々な現象を理解することを目標にします。宇宙物理学における大きな問いとしては:

  • 宇宙はどのようにできて、どのように進化してきたのか?
  • 宇宙の中にある天体(銀河・星・ブラックホールなど…)では、
    どのようなことが起こっているのか?
  • 今後、宇宙はどのように進化していくのか?

といったような疑問がありますが、このような疑問に対して、観測や理論的手法など、様々なアプローチを通じて理解を深めていきます。

また、宇宙物理学の研究に必要な最先端の実験装置(望遠鏡や計算機)は多くの場合、市販されるものでは不十分あるいはそもそも市販されていません。従って、実験装置を一から手作りで開発することも頻繁に行われます。観測装置、計算機の開発も宇宙物理学の一分野と言えます。

宇宙物理学の研究に必要とされる知識や考え方

宇宙物理学の研究は、多くの場合、対象となるものを触ることができません。そのため、「得られたデータから何が分かるか?」とか「ある問題を知るためには、どのような工夫をすれば良いか?」といった考え方が大事になってきます。このような考え方を身につけるには、基礎的な勉強と、物事を多面的に考える習慣を身につける必要があります。

本研究室での研究を志望する場合、基礎となる数学と物理学の知識は必須になります。また、論文は英語で書いてあることが普通ですから、英語がある程度使えることも必要になります。

数学に関しては、微分・積分の計算がしっかりと身に付いていることは最低限必要になります。先進工学部では、1年生の時点でクオーター制のカリキュラムのもと、基礎をしっかりと勉強します。

物理学に関しては、力学・電磁気学・統計力学・量子力学の4つの分野が基礎的な知識として必要になります。先進工学部応用物理学科では、基礎科目や専門科目の形でこれらの科目が用意されています。

英語に関しては、「論文を読む」程度の英語力は必要になりますが、科学の場面で出てくる英語ですので、専門用語さえクリアできれば難しい文法などは多くありません。大学生の間に、原書を一冊、自力で読破できるくらいの英語力を身に付けられるよう、勉強してもらいたいと思います。

宇宙物理学では、状況によって様々な知識が必要とされます。そのため、数学・物理学のみならず、自然科学のあらゆる分野について、「広く浅く」知識を持っていることが、研究を進めていくうえでプラスに働きます。

加えて、プログラミングに関する知識も大切です。最近の研究は、コンピュータ無しでは、歯が立たないというものばかりです。ただし、本研究室では、プログラミングの専門家を育成することが目的ではありません(宇宙を研究した結果として、そうなるような人は居ますが)から、完璧なプログラムを作ることは要求されませんが、研究室に配属されるまでに、少なくとも「コンピュータを見ても驚かない」くらいにはなっておいてほしいと考えています。

これに加え、宇宙物理学では「大雑把に概略を理解する」という考え方が大事になる場面が多くあります。これは、多くの場合、観測から現象の全てを知ることが出来ないところに原因があります。限られた情報の中で、いかに本質を見極めるかということが要求されます。このためには、日頃から、身の回りのちょっとした現象に興味を持ち、そのからくりを考えるという癖を身につけておく必要があります。「シカゴにはピアノの調律師が何人いるか?」という問題は、フェルミ推定と呼ばれる有名な問題の一つです。当然と思っている身の回りの現象(自然現象でも、人間の関わる現象でも何でも良いです)に改めて疑問を持って、それを論理的に解決するという考え方を身に付けてほしいと考えています。

卒業後の進路

学部を卒業した後の進路は、大きく分けて、大学院への進学と一般企業への就職の二通りの可能性があります。先にも書いたように、宇宙物理学の研究では幅広い知識が要求されますから、学部の卒業研究の段階では、なかなか研究の最先端にまでたどり着くことが難しいでしょう。もし、少し本格的に宇宙物理学に触れて見たいと思う場合には、少なくとも大学院の修士課程までは進学してほしいと考えています。

卒業後に、宇宙物理学の知識がそのまま活かせる進路としては、博物館の学芸員や教員といった道があるでしょう。また、その知識を直接使わない職場であっても、多くの場合には研究を通じて身につけられるスキルが大切になります。例えば:

  • プログラミングの知識
  • データに基づいて現象を分析する力
  • 少ないヒントから現象を推理する力
  • 自分の仕事について、分かりやすく、かつ魅力的に発表する力

といった能力は、将来どの分野に行っても有用だと思われます。

本研究室は、2015年4月に設置された新しい研究室ですので、まだ出身の卒業生は居ませんが、一般に宇宙物理学を専門とした学生の就職先は、コンサルタント、金融関係、システムエンジニア、教員、学芸員など、多岐に渡っています。

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