粉粒体の密度測定
測定時における誤差の混入
物理量の測定の際,測定器具や測定環境の関係で誤差が必ず含まれてしまうことは,様々な機会に話をしてきました。
しかし,測定値の不確かさを生み出すのは,何も「計測」によるものだけとは限りません
。
今回の実験の場合,特に試料間に入り込んだ空気などの異物の混入が,その要因として考えられます.
今回の実験の場合,特に試料間に入り込んだ空気などの異物の混入が,その要因として考えられます.
誤差の評価
前項で示した通り,この実験において誤差の主な要因は,
一般にこのような問題が考えられる場合は,校正実験を行うのが解決方法のひとつと言えます.
ということで,今回は密度が$2.5\,\mathrm{g/cm^3}$であるガラス粒の密度を測定すること により,測定方法の精度がどの程度であるかを確認してみました. どのような分布になるかを考えてみると,
のようになることが期待されます.
実践が測定データを表していますが,5回の測定ではもちろんこのようなきれいな分布にはなりません.
しかし,統計誤差と系統誤差を求めることはできます.
この場合は,5つのデータによる平均誤差を統計誤差とし,平均値と真の値の差を系統誤差とするのがよいでしょう.
この結果については,空気の混入などの度合いを表していることになります.
実験の本来の目的は「未知試料の密度測定と推定」にあります. そのため,微量の未知試料を用いることになりますので,ガラス試料のように難度も測定するということはできません(できないことを仮定しています). では,この未知試料の誤差はどのように考えればよいのでしょうか. ここで,ガラス試料の測定結果を用いれば良いわけです. すなわち,ガラス試料の測定で起きたことは,実験環境,実験を実際に行っている人によって様々ですが,逆に,同一のグループによる測定であるならば,おおよそ同じような結果が毎回現れるものと考えられます. そこで,今回の実験において,質量測定における読み取りの誤差よりも,空気などの不純物混入などによる誤差が大きい場合には,
- 質量測定における読み取り
- 空気などの不純物混入
一般にこのような問題が考えられる場合は,校正実験を行うのが解決方法のひとつと言えます.
ということで,今回は密度が$2.5\,\mathrm{g/cm^3}$であるガラス粒の密度を測定すること により,測定方法の精度がどの程度であるかを確認してみました. どのような分布になるかを考えてみると,
この結果については,空気の混入などの度合いを表していることになります.
実験の本来の目的は「未知試料の密度測定と推定」にあります. そのため,微量の未知試料を用いることになりますので,ガラス試料のように難度も測定するということはできません(できないことを仮定しています). では,この未知試料の誤差はどのように考えればよいのでしょうか. ここで,ガラス試料の測定結果を用いれば良いわけです. すなわち,ガラス試料の測定で起きたことは,実験環境,実験を実際に行っている人によって様々ですが,逆に,同一のグループによる測定であるならば,おおよそ同じような結果が毎回現れるものと考えられます. そこで,今回の実験において,質量測定における読み取りの誤差よりも,空気などの不純物混入などによる誤差が大きい場合には,
- ガラス試料の密度測定の平均値: $\langle\rho_{\rm G}\rangle$
- ガラス試料の密度測定の統計誤差: ${\mit\Delta}\rho_{\rm G}$
- ガラス試料の密度測定の系統誤差: $\delta\rho_{\rm G}$
- 未知試料の密度測定の結果: $\rho$
- 未知試料の密度測定の統計誤差: ${\mit\Delta}\rho$
- 未知試料の密度測定の系統誤差: $\delta\rho$
レポートを書く際の注意点
- チェック項目にしたがって書く いつも説明をしている通り,レポートを書く際には「多すぎず,少なすぎず」と言った分量で書くことが望まれます. 物理学実験では,そのために「チェック項目」を設け,それにしたがってレポートを作成するように勧めています. チェック項目については,教科書の各テーマの末尾またはレポート表紙の裏側に書いてありますので,それを確認しながら過不足なく仕上げてください.
- 箇条書きにしない 初回のレポートがひな形形式であったため,レポートは質問(チェック項目)に対して答える形で書くものと勘違いをしている学生がみられます. 初回のレポートは練習問題ということで質疑形式をとりましたが,本来は文章でまとめられるべきものです.
- 文章の現在形,過去形に注意をする
- 概要は過去形です 実験の報告文ですので,その内容は過去のことを表しています. したがって,概要は過去形で書かれていなければなりません.
- 物理理論,測定理論は現在形です 物理理論とは,現在起きているまたは定常的におこっていることを説明し,実験目的を明らかにすることを目的としています. したがって,現在形となります. 同様に,実験を実現するための理論も現在形となります.
- 実験結果,解析結果は過去形です
- 考察は現在形です
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