旅行履歴中の体験表現の共起関係に基づく観光スポット集合の推薦
高田 盾作,北山 大輔
情報処理学会論文誌データベース(TOD), Vol.15, No.3, pp.1-6, 2022年10月, 査読有
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概要
一般に旅行では複数のスポットに訪れるため,旅行の計画時には,メインのスポットを決定し,その後その周辺でともに訪れたいスポットを計画に加えることが多い.周辺のスポットはメインのスポットよりも事前知識に乏しく,選択が困難になることが考えられる.このような場合,メインのスポットに対する適切なスポットの推薦を行うことが効果的である.そこで本研究では,他者の旅行履歴中に出現する各スポットで味わえる体験に注目し,体験の共起関係に基づいた観光スポット推薦を提案する.また,これを再起的に繰り返すことで観光スポット集合を推薦する.本研究では,旅行履歴中のスポットレベルの共起関係ではなく体験表現レベルの共起関係を扱うことで,旅行履歴が少ないエリアについても,推薦することを可能とする.また,ある観光スポットを共起やすい体験で表現した体験共起度ベクトルと,そのスポットの特徴的な体験で表現した特徴ベクトルの2種類で表現することで,単なる類似スポットではなく,旅行履歴に出現する可能性の高いスポットの推薦を行う.本稿では,プロトタイプシステムを構築し,特徴ベクトルのみを用いる従来手法と比較する実験を行い,提案手法による推薦スポット集合が「旅行の計画に役立つ」「思い付かない組合せである」という観点において,有効であることを示した.