デザインは問題解決
1.1 アートとデザインart/design
ランドスケープデザインは屋外空間、広場や公園、そして地域や風景を「デザイン」する分野です。デザインには「きれい」「カッコいい」という印象があるかもしれません。それは間違いではないのですが、それだけでデザインを終わることはできません。もしかすると「アート」ならばそれが可能かも…その違いはデザインとアートが「誰」を対象としているか?に関わってきます。
1.2 公私private/public
芸術家の川俣正は「アートとは、それぞれのヒトの好奇心と自意識を形にしたものだ」と表現しています。でもデザインは必ずしも個人の(私の)好き嫌いだけでは決まりません。それはデザインにはユーザ、クライアントがいるから。ランドスケープデザインでは多くの場合、限られた少数の人ではなく、不特定多数であるということでしょう。
1.3 デザイナーの仕事は「納める」こと
「なんでこういう形になったの?」設計実習で、私がよくする質問です。多くの人は“こうしたかったから…”と答えます。確かにデザインの根っこに「それがしたい」という気持ちは必要です。でもランドスケープデザイン、とくに公共空間のデザインでは、この答えでは十分ではありません。
たとえば公園は、個人の住宅の庭ではありません。公園は、みんなのお金(税金)を使ってつくられる、みんなの使う空間(公共空間)です。ということは、私たちには「なぜその形を描いたのか?」それを説明する義務があります。何が問題か?を探し出し、公園をつくることによって、つくる以前よりも何かが改善されている必要があります。公園をつくることは何かしら「良いこと」をしていると思いがちです。確かに公園がないよりは、ある方がいい…でも公園をつくればそれでいいのでしょうか?公園をつくるということで自分の行為を肯定してしまい、努力を怠ってはいないか?常に自問自答すべきです。
公共空間を扱う仕事は、常に問題解決の仕事です。私たちが取り組む空間やその周囲に問題を発見し、その元を見つけだし、それの解決に対してデザインが的どう挑めるか?デザインはそうした挑戦ではないでしょうか。