学生フォーミュラ(FSAE/formula student)とは
1981年に米国で、『ものづくりによる実践的な学生教育プログラム』として、Formula SAEが開催されました。この大会は、教室の中だけでは優秀なエンジニアが育たないという考えから生まれたものです。 学生自らが一貫してフォーミュラカーを企画・設計・製作し、その中でチーム運営、コスト管理、渉外活動にも携わり、授業では決して得られない様々な経験ができます。 本国でもこれに倣い、学生の自主的なものづくりの総合能力を養成し、将来の機械産業、自動車産業を担う人材を育てるための公益活動と位置づけ、 2003年に全日本学生フォーミュラ大会がスタート致しました。 現在では、国内外から80を超える大学が参加しています。 大会の詳細は、大会公式サイトをご覧ください。
>また学生フォーミュラ大会は日米以外でも英国の「formula student」や「formula student germany」、「formula student hungary」等欧州各国、ブラジル、オーストラリア等世界中で開催されるワールドワイドな活動です。 この大会は、Formula SAE Internationalが規定する国際レギュレーションを採用しており、100ページにも及ぶレギュレーションを全て満たさないと、車両を走行させることができません。 レギュレーションには、おもに以下のようなものがあります。安全性に厳しく、それ以外の点は設計の自由度を高くすることで独創性のある車両開発を促すものとなっています。
・車両製作者やドライバーはすべて学生
・タイヤを覆わず、オープンコクピットのフォーミュラスタイルであること
・エンジンは排気量610 cc以下の4ストロークガソリンレシプロエンジン
・ホイールベースは1575 mm以上
・ブレーキは四輪がロックすること
・排気音は110 dB以下であること
大会ではまず、設計の基準であるレギュレーションをきちんと満たしているか、安全規格を満たしているかを確認するため、車検を行います。 車両の安全性とレギュレーションの適合を確認する技術車検、ドライバーの5秒以内脱出、ブレーキ試験、騒音試験、チルトテーブル試験が行われます。 車検を通過することができると動的審査に移ることができます。
動的審査には、アクセラレーション(加速性能)、スキッドパッド(旋回性能)、オートクロス(総合的な走行性能)、 エンデュランス(耐久性&燃費)があります。また、この大会は、ただ速く走る車を作るのが目的ではないため、静的審査も行われます。静的審査には、プレゼンテーション審査、 コスト審査、デザイン審査があります。以下にその詳細を記述します。配点は以下のようになっています。
・プレゼンテーション審査
チームから選ばれた2人のプレゼンターが、車両の優れた点をアピールするプレゼンテーションを行います。 プレゼンテーション審査は、競技のコンセプトに沿い、製造会社の役員にマシンの優れているところをアピールするという、仮想のシチュエーションのもとで行われます。 ビジネスとしてどのくらいの価値があるかがポイントになります。
・コスト審査
コストが生産活動を行うにあたり考慮しなければならない重要な要素であることを、参加者に学ばせるのが狙いです。まず、車両の価格が、事前に提出したコストレポートで評価されます。 そして大会当日、実車両を見ながら、コストレポートの精度が審査されます。最後に、リアルケースシナリオとして、審査員が指定したパーツのコスト削減方法を、口頭でプレゼンします。
・デザイン審査
事前に提出したデザインレポートと車両をもとに、どのような技術を採用し、どのような工夫をしているか、またその採用した技術が市場性のある妥当なものかを評価されます。 具体的には、車体および構成部品の設計の適切さ、革新性、加工性、補修性、組立性などについて口頭試問されます。
学生フォーミュラ大会・各種目配点
動的審査 | 得点 | 静的審査 | 得点 |
---|---|---|---|
アクセラレーション | 75 | 車検 | - |
スキッドパッド | 50 | コスト審査 | 100 |
オートクロス | 150 | デザイン審査 | 150 |
エンデュランス | 300 | プレゼンテーション審査 | 75 |
燃費 | 100 | Total | 1000 |