NOBE Laboratory
My Opinion
Nodate


野立て看板考

先日、久しぶりに夜行列車で九州から帰京する機会があった。朝目覚めたら岐阜付近を走行中だったので、そこから東京到着までは野立て看板探索に没頭した。(小生の野立て看板好きはこちらを参照してください。) たまに東海道新幹線に乗ると車窓からお馴染みの野立て看板がいくつも見えるので、速度の遅い東海道本線からはゴマンと発見できるのではないかと期待がふくらんだ。太陽の方位から考えて、恐らく線路の北側に野立て看板の群落があると踏み、進行方向左側の窓にへばりついて観察を開始した。駅を発車し、街並みを過ぎて広々とした田園地帯にさしかかると、そこここに野立て看板が威風堂々と佇み‥‥‥‥と思いきや、意に反して「これぞ野立て看板」といったものはなんと数点しか発見できなかった。
広告媒体としての効率を考えてみれば、輸送量では新幹線と道路に圧倒され、乗客は近距離の通勤・通学が主体の在来線沿線に敢えて設置することもないのであろう。列車のほうへ顔を向けた大野立て看板は希少種となり、かわりに小振りのものがドライバーの視線を引きつける道路脇に無秩序に掲げられ、面白くない。子供の頃に東北本線の窓から「酒は大七」の大看板を遠近の山の頂や森陰に見つけたり、田圃の真ん中に小さな赤い屋根にアンテナを載せた「ナショナルテレビ」を見つけて指を折った記憶は、まだそう古びてはいないのだが。ぜひ、ほかの在来線沿線も観察し、この傾向が全国的であるやなしやを検証してみたいものだ。

眺める人もなく佇む看板は何を思う‥‥‥‥