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入室希望セイガクの心得

ゼミあるいは卒論に参加希望のセイガク(失礼!学生)諸君。研究室の説明会にはセミナー室が酸欠になるほど大勢の諸君に参集頂き、御礼申し上げる。それに関連して、前後して何回か面接時の評価方法について質疑を頂戴したので、ここにまとめて返答する。「オーラを見て決める」などと煙に巻いていたが、もう少し具体的に説明すると・・・・・・、


・野部研適性指数(N値)が高いこと。
 ここで云うN値は土壌の硬さを示すものではない。簡単に表現すると、
    N=(G/S)×O×C
であろうか。ここで、
     G:Grade 成績あるいは成果
     S:Study それらに費やした勉強や仕事の時間
     O:Optimum Span 最適化のための時間軸の長さ
     C:Curiosity 好奇心
である。
 たとえ成績が良くても猛烈に時間を浪費した勉強の成果では、N値は低い。小生の経験則に、「勉強モティベーション量不変の法則」というものがある。生涯のうちに個人が保有する勉強に関するモティベーションの総量は一定である、という私説である。ガキの頃からモティベーションを浪費し、本当に勉強が必要になったときに枯渇してしまった例は、枚挙に暇がない。ことに建築という包括的な分野においては、成人してからも日々新たなことを学びながらアウトプットを出すという「無限ループ」を構築させる必要がある。従って、一生の総量を徒に減らしてはならない。故に小生が重視するのは効率指標で、G/Sはまさに効率を示す。
 また、人生を最適化する上で高い視点から将来を展望する努力も必須である。その日暮らしではN値は大きくならない。何処まで遠くを見渡すかというファクターがOである。
 最後のCは物事への接し方を示す。別名助平心とも云う。
 もっとも、それぞれのファクターには具体的な数字が当て嵌まるのものではなく、概念を示すものである。


・議論を厭わないこと。
 研究室では常に議論を諸君に吹っ掛けるのが小生の仕事のひとつである。話は建築の枠を超えて森羅万象に及ぶ。それによって諸君が長い年月をかけて頭に埋め込んできたバラバラの知識が次第に脈略を持つようになり、知恵となって結実を見る。とくに多数の人智を長期間にわたって結集する必要がある建築分野では、この洗礼は大きな意義を持つ。


・安易な情報やツールに踊らされないこと。
 小生は携帯電話が大嫌いである。講義中に使用する学生を発見するやいなや、電話を取り上げて窓から放り捨てることにしている。情報に溺れて片時も携帯を手放せない学生は、お断りする。(といっても、小生も家族で一台所有しているが。要するに節度を持って使えるか、ということです) また、パソコン、インターネット然り。ツールは上手に使ってこそメリットが生まれる。道具に使われてはならぬ。考える時間をつくるためには、敢えて情報機器を遠ざけることも、場合によっては必要である。情報は得るのが目的ではなく、それを材料にして考えるのが肝心であると認識されたし。



というわけで、要領よく学び且つ遊び、長期展望を持ちつつも助平で、あらゆるジャンルの議論を受けて立ち、なお携帯のスイッチを切ることが出来る諸君を望む次第だが、そんなお方がそうざらには居ないということも判っておりマス。一つでも当てはまると自覚する諸君の参加を歓迎します。(ただの助平はダメ)

アンケートはこちら。入室希望者は必ず提出のこと。