下地啓太(しもじ)



研究テーマ:

木質建材のアクリルシリコン系透明保護材によるリグニン分解の抑制化

研究概要:
研究テーマ:木質建材のアクリルシリコン系透明保護材によるリグニン分解の抑制化

1.研究の目的
現在の日本では、戦後に植林された人工林が資源として利用可能な時期を迎えている一方で、森林の管理が十分に行き届いておらず、国土保全などの森林の多面的機能低下が懸念されています。現在の状況を改善するために2010年に「公共建築物等における木材利用の促進に関する法律」が施行されました。
そのため、国が率先して取り組んでいる公共建築物への木利用をはじめとし、今後の建築物への木の需要が期待できます。
今回、本研究は木が構造体や内装材としてだけでなく、外装材として十分な性能を持つことを証明するために紫外線や雨風などの屋外環境下にて、どのような劣化傾向を示すのかを研究します。紫外線吸収剤や防食作用のある塗料を木に塗布し、材料としての寿命を延ばすことで木の用途を広げることを目的としています。

2.研究の方法
試験方法はまず材料の選定を行い、各試験体に条件の異なる塗料を塗布する。様々な外装部位を想定するために試験体曝露時はそれぞれに角度を設けて設置し、作成した試験体を半年間屋外に曝露し、劣化状態の経過観察を行う。経過観察の際には色彩値と含水率、各角度における測定日の正午の紫外線量を記録する。

1)使用材料
杉板、こけら板(さわら、天然杉、人工杉)、各種塗料(キシラデコール、アルキド樹脂塗料、セブンコートN)、試験体設置台、
各種測定機器
(色差計、含水率計、UVA紫外線測定器)材料条件 杉板:板目、柾目、追い柾     
こけら板:さわら、天然杉、人工杉塗料条件 無垢材     キシラデコール     アルキド樹脂塗料     
セブンコートN:紫外線吸収剤(標準、0%、1%)、防水材無添加、防カビ・防腐剤添加2)

実験要因と水準
試験体を曝露する角度を0°、45°、90°とする。上記の材料条件や塗料条件の同じ試験体をそれぞれ3つ用意し、各角度にて屋外曝露する。3)実験方法上記の条件より各試験体を屋外曝露し、定期的に各種測定機器を用いて色彩値、含水率、測定日の紫外線量の測定を行う。測定した結果から、材料や塗料の条件から試験体の劣化傾向を比較し、評価を行う。

3.研究成果:
1)下地啓太、田村雅紀、奈良利男、島袋省三、内藤真弘,各種都市建築物の非構造部材における性能評価と機能継続に関する研究,−木質外装材へのアクリルシリコン系透明保護塗材を用いた退色防止性-工学院大学研究ブランディング事業,巨大都市・複合災害に対する建築・情報学融合によるエリア防災活動支援技術の開発と社会実装,成果報告書,2019.3
2)下地啓太、田村雅紀、奈良利男、島袋省三、内藤真弘木質建材におけるアクリルシリコン系透明保護塗材を用いた紫外線による退色劣化防止の検証,2018年度 日本建築学会関東支部研究報告集,CD-ROM, 2019.3
3)Keita SHIMOJI, Masaki TAMURA, Toshio NARA, Shozo SHIMABUKURO, Masahiro NAITOH, The control of discoloration of wood materials by using clear paints of acrylic silicon, 17th International Symposium on Advanced Technology (ISAT-17) Engineering Innovation for Sustainable Future November 13 - 15, 2018 Danang, Vietnam

4)下地啓太,木質建材におけるアクリルシリコン系透明保護塗材を用いた紫外線による退色劣化防止の検証,2018年度 工学院大学卒業論文集,CD-ROM, 2019.3

特技・趣味:
ディアボロ(プロフィール写真参照)をやっています。おいしいものを食べること、知らない土地を散歩することが好きです。