小林拓登(たくちゃん)

 



研究テーマ:

鉄骨造倉庫建築物の資材製造・現場施工段階に着目した環境影響評価および環境負荷低減対策の検証

 

研究概要:

1.研究の目的

現在、我々の生きる地球では局地的な豪雨や記録的な猛暑 といった様々な異常気象が発生している。これを引き起こし ている原因のひとつとして地球温暖化問題が挙げられ、大気 および海洋の温度上昇と異常気象の関係が指摘されている。 この問題は大気中に温室効果ガスが放出されることによるも のであり、その温室効果をもたらす物質のなかで最も大きな 割合を占めるものが二酸化炭素(以下、CO.)である。この 物質の大気中への大量放出が経済をはじめとする人間の諸活 動に起因しているということは言うまでもないが、近年日本 国内でそれを改善させる取り組みが活発化しているなかで、 建築業界としてもこの排出量削減に取り組むことは必須であ る。建築物のライフサイクル(以下、LC)において、時間 的な観点から運用段階が排出量の大きな割合を占めるが、そ の前の段階である建設フェーズでのCO.の排出抑制が非常に 重要である。本研究では、近年建設需要が高まり重要な物流 拠点である鉄骨造倉庫建築物の建設にかかわるCO.の排出に ついて、現状をサプライチェーン(以下、SC)分析に基づ いて把握し、それをもとに排出抑制効果が得られる可能性を 検討する。

本研究では、対象建築物の資材投入量や施工における消費 エネルギー等の情報から環境負荷量を算定するため、それら の情報と合わせてCO.に関する排出原単位のデータも必要と なる。鉄骨材や鉄鋼製品に関する原単位については一般社団 法人日本鉄鋼連盟が収集、計算し公開しているLCI データコ レクションを活用すべく、同連盟にデータ請求を行い、2023 年2 月の請求時点で最新であった各鋼材の原単位の値を取得 した。その他の資材、製品についても同様にCO.排出原単位 の収集を行い、表2 に示すデータが得られた。本研究におい てはこの値を用いることとした。

3.想定される結論とその研究が果たす社会的貢献度

本研究により、以下の知見が得られた。
1) 生コンクリートや鉄骨といった投入量の多い資材の原材 料を置き替えることで、対象建築物の投入資材製造におけ る排出量は1,948 t-CO.減少した。

2) 資材製造から現場施工までのスコープ1,2,3(上流)すべて を合わせた排出量は、鉄筋コンクリートと鉄骨からのそれ が合計65%を占めており、その原材料を置き替えることで 総排出量を2 割削減させることができる結果となった。

3) 建築物の投入材料の置き換えは、技術的な問題や流通、コ ストといったさまざまな観点から考慮する必要があり、特 に躯体材料や主要資材は建築物に使用される量が多いこと で流通、コストのなどの問題を大きく受ける。しかし、そ れらをより環境負荷の低いものに置き替えることは、スコ ープ1,2,3(上流)全体からのCO.排出量の削減に効果があ ることが本研究からわかった。

5.研究成果
1)KOBAYASHI, TAMURA,LCCO. Evaluation and Proposal of the Measures for Environmental Impact Reduction focusing on the Material Manufacturing, Fabrication, and Construction on site Phases of Steel-framed Buildings in Japan,2023 International Symposium on Advanced Technology (ISAT-22) ,Oct. 2023

2) 小林、田村ら,鉄骨造倉庫建築物のライフサイクル環境影 響に着目したSC 分析に基づくCFP 評価,日本建築学会関 東支部研究発表会,2024 年3 月

3)小林,鉄骨造倉庫建築物の資材製造・現場施工段階に着目した環境影響評価および環境負荷低減対策の検証工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2023.3