青木萌奈(もな)



研究テーマ:

ブルーカーボン・ホタテ貝殻微粒分を用いた環境配慮型3D プリンティング材料の基礎物性評価

 

 

研究概要:

1.研究の目的

日本政府の2050 年カーボンニュートラル宣言を受け、 建設業界でもCO.排出量の削減が問題になっている。ホワ イトカーボン、グリーンカーボンに次ぐカーボンニュート ラル資源として、ブルーカーボンが注目を集めている。図 1 にブルーカーボンの概念図を示す。浅場の海洋生態系に 取り込まれた炭素がブルーカーボンとして炭素吸収源と 位置付けられており、2009 年の国連環境計画(UNEP)の報 告書「BLUE CARBON」によって定義されている。ホタテ貝殻 は海水中に含まれる二酸化炭素であるブルーカーボンを 吸収して成長し、炭酸カルシウム(CaCO3)の殻を形成する。 炭酸カルシウムには約44%のCO.が含まれるため、仮にホ タテ貝殻を100 �sコンクリートの細骨材とした場合、約44 �sのCO.を固定化させることができる。現在、北海道では 年間約34 万トンのホタテが水揚げされているが、それに 伴い約13 万トンの貝殻が廃棄物として発生していること が明らかになっている。また、建設業界では高齢化も問題 となっている。建設業就業者のうち55 歳以上が36%、29 歳 以下は約12%と次世代への技術継承が課題となっており、 高い技術が必要な型枠作成は職人不足が予測される。建設 用3D プリンティング技術を利用することで、工期の短縮 と打設時の作業時の人員削減に加えて、残存型枠を利用す ることで、作業員の練度に関わらず一定の品質のコンクリ ートが打設可能になる。本研究では、3D プリンティング (以下3DP)用ホタテ貝殻微粒紛モルタルの物性について検 討を行い、ホタテ貝殻微粒紛モルタルの3D プリンティン グへの応用を目指す。

3.想定される結論とその研究が果たす社会的貢献度

本研究により、以下の知見が得られた。
1) ホタテ貝殻微粒分モルタルは、絶乾状態からの練りで あっても微粒分の形状特性がもたらす機械的かみ合わ せ

3)によって、普通調合と同程度の圧縮強さと基本調合 を上回るせん断強さと曲げ強さが得られた。 2) ホタテ貝殻砂微粉モルタルは、微粉の形状特性がもた らす機械的かみ合わせ3)によって普通調合と同程度の 圧縮強さと基本調合を上回るせん断、曲げ強さが得ら れることが想定される。

3) 微粒混和剤使用モルタルは、混和剤添加率によらず一 定の強度が得られる。 4) 繊維種の変更によるフレッシュ性状への影響は見られ ないが、強度への影響は見られる。

5.研究成果
1)尾関,田村ら炭素固定性を有する海洋生物殻廃棄物.を 用いたPCa コンクリート部材の開発,その3 材料・製品 の製造段階の炭素量計量,2022 年度日本建築学会学術 講演梗概集,2022

2) 井口,田村ら,炭素固定性を有する海洋生物殻廃棄物を 用いたPCa コンクリートの部材の開発 その7:ホタテ 貝殻砂使用コンクリートの外観防汚効果の検討,2023 年度日本建築学会学術講演梗概集,2023

3)青木,ブルーカーボン・ホタテ貝殻微粒分を用いた環境配慮型3D プリンティング材料の基礎物性評価学院大学卒業論文,CD-ROM, 2023.3