本橋 柊(shuu)



研究テーマ:

炭素固定性を有するホタテ貝殻砂PCaコンクリート部材の2層打重ね仕上げ部における 鉄筋引抜き試験による付着割裂抵抗性の評価

 

研究概要:

1.研究の目的

現在、北海道では年間約44万トンのほたてが水揚げされて いるが、それに伴ない約11万トンの貝殻が発生している事が 明らかになっている。本研究では、北海道の主要な水産物で、 今後も安定した生産量が見込まれるほたて貝殻砂の持つ炭素 固定性に着目し、PCa コンクリート部材(以下PCa 部材)に ほたて貝殻砂を細骨材として置換したカーボンニュートラル 建材の開発を目的として、研究を進めている。2009年国連環 境計画(UNEP)にて、浅場の海洋生態系に取り込まれた炭素 がブルーカーボンとして炭素吸収源と位置づけられており、 ほたて貝殻は海洋中に含まれる二酸化炭素であるブルーカー ボンを吸収して成長し、炭酸カルシウム(CaCO3)の殻を形 成する。その炭酸カルシウムには約44%のCO2 が含まれるた め、仮にほたて貝殻を100kg コンクリートの細骨材とした場 合、約44kg のCO2 を固定化させる事ができる。既往の研究 では、北海道頭部で低コストかつ大規模設備で量産された貝 殻砂(Hbs)を使用してモルタルを作成し、フレッシュ性状と 力学特性を確認した。本試験では、ほたて貝殻砂使用二層打 ちコンクリートにおける鉄筋引き抜き性能の検討をする。

2.研究の方法

鉄筋の付着強度試験方法を図1 に、コンクリートの打ち重 ねパターンを図2 にそれぞれ示す。また、PCa 実部材の鉄筋 およびPCa 実部材を写真1、2に示す。まず始めに、型枠を 採寸・切断・組み立てを行う。型枠に使用する材料はウレタ ンが塗装されているコンクリート型枠用塗装合板で、100mm× 100mm×100mmの立方供試体用型枠を作製する。その後、ほた て貝殻砂を含むコンクリートの調合に準拠し、二層打ちの供 試体をA、B、C、D シリーズの方法で4 パターン作製する。 同時に円柱試験体を作製し、打設日から1日・28日の圧縮強 度、引張強度の確認を行う。また、打設日から36日以後より 引き抜き試験による鉄筋とコンクリートとの付着強さの評価 を行う。型枠の制作方法や打ち込む際の手順は、建材試験セ ンター規格の試験方法(以下JSTM C 2101とする。)で行う。

3.想定される結論とその研究が果たす社会的貢献度

本研究により、以下の知見が得られた。
本研究では、計84個の試験体を、各種打重ねパターン(A、 B、C、D)・OT(20・50・80分)・仕上厚さ(type G標準型、 type P カーボンニュートラル促進型)条件で2 層打ちコンク リートの付着割裂抵抗性の評価を行った。 今後の課題としてコンクリートの打重ね時間管理の影響を 踏まえつつPRC 指針式への適応性評価を検討していく必要 がある。

5.研究成果
1)本橋 炭素固定性を有するホタテ貝殻砂PCaコンクリート部材の2層打重ね仕上げ部における 鉄筋引抜き試験による付着割裂抵抗性の評価 工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2023.3