上杉 寧々(nene



研究テーマ:

炭素固定性を有するホタテ貝殻砂を用いたPCa コンクリート部材における2 層打重ね仕上げ部の付着性能と破断性状の評価

 

研究概要:

1.研究の目的

地球温暖化対策の一環として、環境配慮型建材の開発が注 目されている。特に、北海道で廃棄されるホタテ貝殻をコン クリートの細骨材に置換する研究が進行中であり、これによ り二酸化炭素の排出削減や資源の有効活用が期待される。既 往の研究1)-4)から、ホタテ貝殻砂を細骨材として置換したセ メント材料を使用することは、コンクリート内部に二酸化炭 素を固定することで二酸化炭素排出削減に貢献する可能性が ある。本研究では、ホタテ貝殻を活用した外壁プレキャスト コンクリート部材(以下、PCa 部材)の実用化を目指し、コ ンクリートの基礎物性評価を行った。また、異種コンクリー トを2 層外壁仕上げ部として作成したPCa 部材付着強度と界 面破断評価を行った。

2.研究の方法

本研究では、ホタテ貝殻の炭素固定性を有するという特徴 に着目し、二酸化炭素を建築物に長期的に固定することが可 能となるコンクリートを調合した後に、異種コンクリートを 2 層外壁仕上げ部としての製造方法を検討する。各種類のコ ンクリートの基礎物性、2 層打ち重ねで作製した箱型供試体 を用いて付着性能について評価を行う。打設時にはコンクリ ートの種類とオープンタイムに変化を持たせることで、打ち 重ねの時間に差を設けた様々な施工状態を想定し、強度や破 断界面にどのような違いが発生するのか調査する。外壁PCa コンクリート部材としての要求性能を満たすことができるか を検討する。

3.想定される結論とその研究が果たす社会的貢献度

本研究により、以下の知見が得られた。
スランプ値は、材料の練り混ぜ時間や骨材の形状特性に よって目標値の範囲からずれる。空気量は、高性能減水 剤の添加量や骨材の形状特性の違いが巻き込み空気量 に影響を与えると考えられる。密度は、人工軽量骨材は 天然骨材と異なり、吸水率などの特性が影響を与える。

2) 圧縮強度は、材料特性の時間経過の影響が示唆される。

3) 割裂引張強度は、使用する材料や調合の違いが引張強度 に与える影響が明らかになった。

4) 付着試験において、オープンタイムの管理と施工状態の 確保が付着性能の向上に起因する。

5) 接着剤の塗布方法や補助剤の使用方法を適切に見直す ことで、さらなる付着性能の向上が期待できる。

5.研究成果
1)上杉ら, 炭素固定性を有する海洋生物殻廃棄物を用いた PCa コンクリート部材の開発 その8,第16 回日本・韓 国建築材料施工Joint Symposium

2) 上杉ら,炭素固定性を有する海洋生物殻廃棄物を用いた PCa コンクリート部材の開発 その8,2024 年度日本建築 学会

3) 上杉ら,炭素固定性を有する海洋生物殻廃棄物を用いた PCa コンクリート部材の開発 その9,第23 回 先端技 術に関する国際シンポジウム(ISAT-23)

4) 上杉ら,炭素固定性を有する海洋生物殻廃棄物を用いた PCa コンクリート部材の開発 その11〜12,2024 年度日 本建築学会関東支部

5)上杉,炭素固定性を有する海洋生物殻廃棄物を用いた PCa コンクリート部材の開発 工学院大学卒業論文,CD-ROM, 2023.3