電気抵抗の理解

この実験の解説内容をまとめたものを作りました。 PDFファイル にしてありますので,参考にしてください。

電気抵抗の定義

電気抵抗の定義について,説明不十分なレポートが多く見られます。 そこで,簡単にまとめてみたいと思います。 わたし自身の誤解があるかもしれませんので, 気づき次第改訂していくことになりますから, ときどき覗きにきてください。

電気抵抗について,「物理学辞典(培風館)」には, 次のように示されています。
  • 導線の2点間に流れる定常電流を$I$, その間の電位差を$V$とするとき, $$ R=\frac{V}{I} $$ を2点間の電気抵抗あるいは単に抵抗という。 抵抗の単位は"$\Omega$"である。
これでは,単にオームの法則ではないかということになりますが, 辞典では続けて,
  • $V$または$I$があまり大きくない限り,抵抗$R$は$V$または$I$によらない定数である(オームの法則)。
とあります。 つまり,オームの法則の本質は, 導体の2点間に流れる定常電流とその間の電位差は比例する($V=RI$)ことを表しており, 特定の条件(かなり広い条件ではありますが)の中で成り立つ法則性を示しています。 その際の比例定数が電気抵抗に相当しているというわけです。 それに対して,電気抵抗の定義は先に示した通りで, 「定数とは限らない」という内容が含まれてきます。 どのような場合かというと, 「半導体」や「絶縁体」において電位差が大きくなった場合などが当てはまります。

物性的に考えると,抵抗$R$の値は物質の種類および形状によって変化します。 断面が一様な導体については,抵抗$R$は長さ$\ell$に比例し, 断面積$S$に反比例するので, $$ R=\rho\frac{\ell}{S} $$ であり,比例定数$\rho$が物質固有な値となります。 ここで,$\rho$は電気抵抗率であり,体積抵抗率,比抵抗, 固有抵抗などとも呼ばれています。


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