DIARY 2002年4月後半



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4月16日(火)

『サンデー毎日』を立ち読みする。T大学理工学部で「単位乱発」という記事が気になったため。大学産業において「ラベルの貼り替え」(by 雪印)が発覚すれば、卒業証書の信用性が薄れて就職に響き、行く行くは入学希望者がいなくなってしまうという恐れがあるはず。そうならないのは、卒業大学よりも本人自身が大事だからだと思われているからなのか、それとも大学での勉強に意味があると思われていないからだろうか。

5700kmもあるアリの「巣」が見つかったというニュース。このコロニーのアリの数は、世界の人口より多いかも知れないと考えると、安定して存在していることが信じられない。また、こういう研究をすること、それができる環境があるというところは、ちょっとうらやましい。


4月17日(水)

元富士銀行だったみずほ銀行で記帳しようとすると、第一勧銀の通帳が使えるATMが限られていた。また、3月分の振り込みを記帳したところ、振り込んでくれた相手の名前がこれまでと違って記入されていない。これ出なくなったんですかとすぐそばで案内役をしているらしい行員の人に尋ねると「第一勧銀じゃないのでわかりません」と言われた。彼の脳内はまだ統合されていないのだろう。

初めて訪れた大学で植物の豊かさに驚く。敷地の余裕にも驚く。古い建物にビラが貼られていて、こういうのが大学だったということを思い出す。


4月18日(木)

昨年の学生が授業をのぞきに来たのは良いのだが、レポートの話をしようと思って先週来てなかった人と呼びかけたとき手を挙げる必要はなかろう。「先週来ていなくて今年この授業の単位を取るつもりの人」と言い直す私も似たようなものだが。

課題のキーボートカバーとともにプリンタリボンを入手。黒とカラーの2つのリボンを並べて装着するタイプのプリンタで、時計でも有名な諏訪湖畔の会社の製品。カラーリボンだけがなくなったのに、黒で印刷することも許してくれない。たしかに、黒しか使わない人は別のプリンタを最初から買うのだろうが、もうちょっと融通を効かせても良いだろう。

急ぎの書評を仕上げる。800字がこんな短い字数であるとは。別バージョンを作ろうかと思ったくらいだ。


4月19日(金)

ぶらんこを揺らす方法で特許というニュースここで検索可能。特許番号6368227で出てくる。これを審査した人の気持ちが聞きたい。あるいはどのようなマニュアルで審査するのか、聞いてみたい。

書評をメールで送信。ファックスで校正。ファックスは読みにくいが、アナログデータを校正するにはこれしかない。画像ファイルを添付してゲラを送り、それをプリントして校正し、スキャナーで読み込んでまた添付ファイルにして送り返すというのは、やはり手間がかかるということだろう。


4月20日(土)

今どき信じられない話がこちら。学生が「自分の考えを出」すのが反省すべき事だとしたら、学問は成立しなくなる。また教員がもし仮に心の底でそう思っていたとしても、それを言わせたり書かせたりしたらまずいと思うのが普通ではないだろうか。学生は教員に対して自分の考えを言わないというのが当たり前のことになっていて、教員の側も学生の側もその「常識」を疑っていなかったためにこういうことが起こったのだとしたら、そのことが一番恐ろしいことだ。学生の方が、後から問題になりそうな反省文をわざと書いて教員を困らせようとしたのだとしたら(それは決して誉められたことではないけれと)、事後に起こる問題を適切に予測できた学生の側にまだ救いが見られると言って良いだろう。なお、アカデミックハラスメントについて有名なページはこちら

黒板が妙に高い位置にある教室。上半分は手が届かない。私の身長が低いだけが理由なのだろうか。それとも教室と教卓との相性の不一致? あるいは、教員はすべて男であることが前提にされているのか?


4月21日(日)

カブトムシのミスコンテストがあったというニュース。評価基準は「肌の色つやや動きの活発さ」などだそうだ。「肌」だっけ? しかし、最も不思議なことは幼虫のオス・メスをどのように見分けるのかということだ。また、成人女性ならともかく、まだ蛹にもなっていない幼い女性の肌に目を奪われるのはいかがかと思う。並行して「ミスターカブトムシ」も決めると「政治的に正しい」町おこしになるだろう。

2週間授業が終わった。日曜日ごとに少しずつ進める文章は、思い出すのに時間がかかる。


4月22日(月)

午前中授業の後、荷物と一緒に高速道路で新宿へ。

会議が続けて4つ。そのうち2つは途中で抜け出して別の会議に参加している。終わるとさすがに疲れている。新宿郵便局で出そうと思って持ち出した郵便物を家まで持って帰ってしまった。学校で書こうと思っていたメールも書かないで帰る。新人の歓迎会も、隣の隣のビルまで行く気力がない。


4月23日(火)

立ち読み石坂啓『アイ'ムホーム』上下巻を読んだら、なぜか気持ち悪くなってきた。記憶力に自信がなくなると、対人関係で変な気を遣うことがある。ちなみに、記憶喪失の主人公の立場から書かれていて最初は話が見えないので、どうなっているんだろうと疑問を持たせて読み進めさせる面白い話だと思う。

今月に入ってもらった連絡は、結婚、転居、異動、定年退職など。最近会っていない懐かしい人が多い。

異動の連絡をメールでくれたM氏は、年賀状を出したのに古い住所宛だったためハガキが戻ってきた人。しかも、そのハガキはお年玉くじの当選番号を調べた際、手元にあるおよそ100枚の年賀ハガキの中から唯一見つけだした「当たり」だった。自分のものにして良いのかどうかと考えつつもとりあえず先日引き替えてきたばかりだったので、返事でそのことを説明した。


4月24日(水)

妙に暑いのと、思いのほか受講者の多かった非常勤先の授業とで、すでに夕方には疲れていた。夜の授業の教室も暑かったが、大きめの部屋に移動してもらって少し助かった。

夜の9時を過ぎた時間に授業終了後のかなり疲れた頭で学生の話を聞いていたため、その時は何のことだかよくわからなかったのだが、今調べてみるとけっこう怪しい「水の結晶の写真集」というのがこれ。お米に声をかけてみる実験(「ありがとう」と「ばかやろう」でどう違うか)、あのルパート・シェルドレイクも登場する雑誌『波動』、それにサトル・エネルギーなどの「同類」へのリンクなど、怪しい臭いが漂ってくる。


4月25日(木)

昨日の疲れが朝まで響いてどうなるかと思ったが、午後から回復。結構元気になった。しかし、たとえ強く誘われたとしても、自分が委員になっていない会議にオブザーバーとして出席するほど余裕はないと、学校を後にする。

マンガ好きじゃないですかと学生に聞かれたので、嫌いではないがあまり読んでいないと答えた。本当のことだ。聞いた本人が好きらしいが、私を見て自分と同じものを感じたということだ。

連休にやろうと思っていることがたくさんありすぎて、たぶんすべてはできないだろう。優先順位が大事だ。


4月26日(金)

学生からの問い合わせのメールに回答したらその返信が早いことに感動されたが、これは時間がたつと忘れてしまうに違いないと考えて見たらすぐ返事を書いているからに過ぎない。「反射」であると理解すると良いだろう。それに対して、大事なメールほど返信は遅くなってしまう。考えなければ書けないからだ。


4月27日(土)

その大学4年生が授業に遅刻した理由は、駅前で大声を上げながら一生懸命に募金活動をしていた女子中学生に「萌えた」ので、しばらく一緒に話し込んでしまったからだそうだ。遅刻は許すので、犯罪にはならないようにして欲しい。

これの4月例会に出席。これまで不勉強であまり知らなかったハンセン病の歴史についていろいろ勉強になったが、福島で勤務しながらどのようにして東京の大学院に通っているのかは謎のままだ。


4月28日(日)

最近また変なメールが公開アドレスの方にたくさんくる。メーリングリストからも来る。ジョンと名乗りたいのだろうが、綴りがJhonとなっている差出人のメールとか、gameだとかtestだとかいうメールや、怪しいサイトを紹介するメールだ。今のところウイルスの被害にはあっていないと思う。最初はちょっと驚いたが、最近は機械的に削除するだけだ。

体細胞クローンには異常が多く見られるとのニュース。どうしてそうなるのかのメカニズムはもちろんはっきりしていないので、異常が簡単に防げる種類のものなのかそうでないのかは、本当のところよくわっていないはずだ。また、ドリーはきわめて健康だというのが最近までの売りだったはずではなかったのか。問題のある個体が多く出産されていることはわかっていたが、技術の初期には失敗がつきものだという見方もあったはずだ。ヒトクローンの妊娠問題が出てきたので、これまでの楽観的な調子からあわててクローンの問題点の指摘に入っているという印象がぬぐえない。

朝早い月曜日が休みとなると、日曜日の夜の気分がまったく違ってくる。


4月29日(月)

昼過ぎまでは仕事。その後夕方、ネコ用の目薬を取りに行く。人間の薬と中身は同じものだとのこと。動物用医薬品の種類が豊富なアメリカからの輸入品もよく用いられるが、現在BSE問題で輸入ができなくなっているそうだ。医薬品の製造にウシ(に由来する物質)を利用しているのか? だとしても、日本よりアメリカの方が危険ということはないだろう。よくわからない。

大阪高検の三井検事逮捕関連は、これが生々しいけれど、これも面白い。


4月30日(火)

半分忘れかけていた文章の手直し。

別の文章の校正を送るために郵便局へ。

セレラ社が解読したヒトゲノムは社長のものだったというニュース。たしかに一番問題になりにくい。でも、アルツハイマーの遺伝子が見つかったりしているところを見ると自分も恩恵にあずかっていると言える。社長はやめたらしいが、こうなったら今後は解読された遺伝子データと様々な身体データを比較して遺伝子の機能を調べるための「モデル動物」としての未来が待っている。



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