DIARY 2000年11月前半



日記目次10月後半10111213141511月後半


11月1日(水)

フレッツISDN開通しました。これまで使っていたテレホーダイが月極なので、ちょうど月の変わり目を工事(いったいどんな工事なんだろう)日にしてもらいました。フレッツISDN関係は、いろいろ混乱もあるようですが、こちらから提案すれば融通もきくようです。

科研費申請のシーズンです。これは申請して認められれば文部省からお金が1ー4年間もらえるというもので、大学教員はそれを目指してせっせと願書を書くわけです。国からもらえる「補助金」の一種です。私の場合、昨年度+今年度という2年間のものが終わるので、来年度もらおうと思えば今年申請しなければなりません。今もらっているのは奨励研究(A)という「若手研究者」用のものですが、来年4月1日時点で37歳以下という年齢制限に3週間の差でひっかかるので、この枠での申請はもう無理。基盤研究(C)の申請書をもらいました。ちなみに(A)(B)(C)は金額の違いで、(C)は最も安価なもの。多額のものは、グループで申請するのが普通。某大学にいたとき、研究グループ立ち上げにむけての会議に代理出席しましたが、十億の桁になるこの申請は1年以上 も前から準備していたようでした。日本の文部補助金行政の一端を知りたい方は、こちら

ここにカフェができたらしい。コーヒーが1杯50円だとか。あらゆる意味で保証はしないが、勇気のある人にお勧め。月水金の午後開店。当然ながら大学非公認で学生が勝手にやっているはずだ。

明日と明後日は体育祭で休み。昨日は開講記念日だった。10を越える5の倍数年勤めると表彰状または感謝状がもらえるらしい。今日は合間だが授業あり、セミナーも。八王子校舎の方は学園祭だ。


11月2日(木)

プロバイダを変えるといろいろめんどうなことがあるということがわかった。各所への変更の連絡。それぞれに脱会の仕方が違うメーリングリスト。転送設定の変更。全部今日やろうとしたが無理だった。att.ne.jpの方のアドレスを知っている方がもしこれを読んでいたら、同じアカウント名でドメイン名ac.wakwak.comに変更したことをお知らせしたいと思います。

東京電機大学が経済学の先生を募集しているが、STS(Science ,Technology and Society)もできる方歓迎だそうだ。はやっているのか、STSは? 最近大学は変化が激しいからだろうか、「一芸に秀でた人」(左ピッチャーを打たせたら日本一とか)よりも「マルチにできる人」(内野も外野も守れるとか)が専任教員としては好まれるようだが、それは本当に良いことなのか? だって、学者は「専門家」だよ。(自分がマルチタイプだということはよくわかっているのが、だからこそ言ってるわけです。社会学や倫理学や歴史学ならともかく、経済学とSTSはちょっと無理がないか? もちろん、世の中にはいろんな研究分野があるから、たぶん少数の該当者はいるんだろうけど。)

携帯電話をよく使う人ほど「深い話をできる親友」がいるなど人間関係が豊かだという調査結果との報道。あやしいね。普通に考えれば、逆じゃないのか? たとえば、「親しい人がいるからケータイを持つ」のであって、「ケータイをもつから親しい人ができる」のではないと思う(中にはそういう場合もあるだろうが)。しかし、上の調査結果のようなことを言われると後者のように解釈してしまう人もいるだろう(というかそう誘導している)。Docomoが自分に都合の良いように出した調査結果の受け売りを報道するんだもんな。

科研費申請書進まず。同じものを幾通も提出しな ければならない。所定の書類のpdf版はwebで公開されているが、できれば計算機上で穴埋めをすればすむ、一太郎版などを作って欲しいと思っている。(みんな思っている。)そうしないのは、税金を使わせていただけることのありがたみを単純労働することで思い知れという考え方がきっと文部省にあるからだろう。続く


11月3日(金)

ヒッグス粒子の存在を示唆する証拠が見つかったらしい。 しかし、こういうニュースを聞いてもいったい何のことだかよくわからない。 証拠を見つけたのは、ヨーロッパ各国が大金をかけ、広大な面積を使って作った研究施設。 でも画期的だし、ノーベル賞ものなんだろうな、という想像はつく。 こんなふうに、ほとんどの人はよくわからないのに、税金を含むお金をかけて行われているのが、最先端の科学研究だ。 理科離れが進んでいるらしいので、研究者としてはほら大発見だと騒いでも、わからない人はしらけるばかりだろう。よけいに反感を招くかもしれない。

義務教育の数学や理科がぐっとやさしくなるという。 これは、一部の科学知識をもった人と、大部分の知識をもたない人という「階層分化」をひきおこすだろう。 科学に無知な大衆は、科学のもたらす豊かさのイメージだけで科学を受容し、科学技術は、「危険」だとか「不要」だとか言われて足を引っ張られることなく自由にのびのびと発展して経済的豊かさをもたらす。 日本の経済的繁栄をねらった、未来をみすえた深謀遠慮の政策に違いない。 モデルはもちろんアメリカ。

着物モデル募集のチラシ(郵便受けに入っていた)の応募資格の欄に15歳から35歳の女性と書いてあったが、「35」の上にペンで線を引いて「65」と訂正してあった。これほど大胆かつさりげない修正は見たことがない。


11月4日(土)

学園祭シーズンは、授業をお休みできるので実はちょっと助かっている。

大教室で人が少なくても最前列に座る女子学生がいる。学生芝居の俳優であることがわかって(学園祭のチラシをもらった)何だか納得した。

核燃料サイクル開発機構のTopページは週刊紙や新聞に対する抗議文がたくさんあって面白い。昨日早朝ここからアクセスがあったとのログがあったので、jnc.go.jpってどこだろうと思って見てしまった。週刊プレイボーイの記事をチェックする国の仕事に税金が使われているなんてすごいね。

フレッツISDNはトラブル続出らしい。うちは、まだ4日目だが今のところ順調。

科研費申請書のMicrosoft Wordフォーマット版は、北海道大学の職員の人がつくっているものがある(ここ)。2年前メーリングリストで紹介されて使おうと試みたことを思い出した。(2日前には忘れてた。)あのときは「東京工業大学大学院社会理工学研究科」の事務官に「ちょっと枠の大きさが違うようですね」と言われてしまったのだった。天下の文部事務官がダメと言えばダメに決まっている。いざというときのために逆らわない方が良いと習っていた新入り文部教官は、簡単に引き下がった。(でも上記のファイルは東京工業大学の某研究室のサイトにも置いてあるぞ。)今度はどうか、確認してみよう。


11月5日(日)

学会関係の打ち合わせで外出(科学史学会生物学史分科会の冬のシンポジウム)。コートを着て出たら暑かったが、体調の変化なのか気候のせいなのか判断がつかず「今日暑い?」を連発。どうやら大部分は気候のせいとわかり安心。

本職は動物行動学者だがトンデモ系コレクターでもあるA氏が澤口俊之を知らないというので、薦める。平然と車内で化粧する脳という本を書いた人だ。「現代日本人若者は脳が未発達」という仮説で社会現象を説明する強引な一冊。現代の若者は周りが見えていないということだが、もし本気でそう思っているのなら(本人は大学の先生なんだから)自分こそ周りの学生が見えていないのでは。(後記:平然と車内で化粧する脳じゃなくて車内で平然と化粧する脳だとも。どっちでもいいや。)

Web界で「イチロー」といえば「河上イチロー」のことだったが、引退したそうですね。高速道路を通行する車をすべて監視するいわゆるNシステムの日本全国マップ作りなどの業績は面白いなと思う。


11月6日(月)

順調と書いたとたんにこれだ。ダイアルアップルータが故障らしい。電話も通じない。ご迷惑をおかけします。日記も更新できていません。しばらくお待ち下さい。


11月7日(火)

ということで早速ルータのメーカに電話。保証期間内だし、翌日代替器が来ることに。ただし、旧形。

ついくじ引きでコルクボードをあててしまった。We love Lionsと書いてあるのがたまに傷。


11月8日(水)(ここから先しばらくは快復しかけた後に書いています!

おはようございますの挨拶と同時に、顔色の悪さを指摘される。たしかに自分でもそう思う。授業をしていても、身体の張りがいつもと違うような感じ。2部の授業終了時には抜け殻のようになっていた。

まだ自分の不調にあまり気づいていない昼時、非常勤のついでに昔からの知り合いF氏の研究室におじゃまさせてもらい買ってきたパンを食べていた。彼女の研究室は2人分の広さなんだが、半分に仕切るお金がないので1人で使っているそうだ。うらやましい。

昨夜おやっと気づいただけだった赤斑が水泡化している。これでは、さすがに明日は医者だということになった。咳をすると響く身体の痛みも何とかしたいと思う。

富士通から送られてきた代替器が使えない。どうなってるの。やっぱりNTTのせいか! 図書新聞の原稿を書こうとして読書中だが進まない。いくつも不安を抱えながら眠りにつく。


11月9日(木)

まず公衆電話からNTT故障相談。PHSで連絡をまちつつ、病院探し。しかし、近所の内科兼皮膚科は軒並み木曜日定休。開いていると思って歩いていったところもダメだった。仕方がないので新宿で探そうと決断。そこにNTTから電話。「初めは確かにおかしかったが調べているうちに回線が通じた」という要領をなさない調査結果。とりあえず使えそうだということ。自宅にかけてみるとちゃんと呼び出し音がなって留守電が出た。ということは代替器は正常だったんだ。

新宿でどこにいくべきかわからず、新宿に勤めて40年の事務の方に相談してまず衛生室。そこで推薦された病院に行った。診断結果は風邪とヘルペス(帯状疱疹)。要するに水疱瘡ウイルスが30年ぶりに私にリベンジを仕掛けているわけだ。内科医らしき医者は義務的に薬を処方した。「副作用が」といいつつ少な目であった(これが後で響いた)。その後、熱と身体の痛みを我慢して授業とセミナー。帰るときには、明日調子が悪ければ休むかもとのんきに考えていた。


11月10日(金)

深夜身体と頭の激痛で目が覚める。おもわずウンウン声が漏れてしまうなんて嘘みたいだ。呼吸も荒くて仕事どころではない。今日明日の仕事は午前中にすべてキャンセルした。こんなに体調が悪い自分を見るのは久しぶり。4年前のインフルエンザ以来。嘔吐感があって食事もほとんど喉を通らない。ほとんど床に伏した切りだった。失われた24時間と言って良かろう。


11月11日(土)

昨日より、食べ物が喉を通るだけまし。熱は下がったり上がったり。外出はとても無理。一日休養。


11月12日(日)

体調変わらず。むしろ頭痛は復活気味。早々と翌日の休講を決意し、このページと八王子校舎受講生のページにその件のみ書き残す。日記でわかる林の最近の体調から見て、休講があるのではとの期待をこめてWebをチェックする要領の良い学生がいますようにとの思いを胸に抱きながら。


11月13日(月)

午後から新宿。前と同じ診療所を訪れる。同じ医師が担当。患部を見せると悪化していると驚かれて、専門の皮膚科に行った方がいいねと言われる。近所の別の医院を紹介される。(最初からその方が良かったのでは。)紹介でたどりついたのは、小さな雑居ビルの一室に一人で医院を構えている(著名な洋学者と同姓同名の)S医師のところだった。このS氏はなかなかのキャラ。図解で帯状疱疹の説明をしてくれた。定量的な説明に好感をもった。患部を見せると、すぐに「はい、診断終わりました」と言う。判断の早さを強調するみたいでおかしい。「これは重症だね」と言って、自分も大学入試の時に同じ病気を患って、鉛筆を持つ手が痛くて答案が書けずに苦労したという話を始めたときには「我いかにして皮膚科医になりしか」という思い出話が始まるかと思ったが、そうでもなかった。医院は狭いけど混んでいた。結構流行っているらしい。

新宿に来たからには、今日が学内締め切りの科研の申請書を置いて帰らないと。私の研究者魂が、病身を動かしていた。


11月14日(火)

できるだけふだんの休日と同じように過ごそうとするが難しい。作業が続かない。まだ本調子ではない。


11月15日(水)

水泡は破れて表面が痛い。それに神経痛で体のあちこちが痛い。夕刻の都会の駅を歩くときには、人と人がこんなに接触しているのだということに初めて気づいた。(接触すると痛いんだよお!)勉強になるなあ。

授業はスペシャルバージョンで済ませる。しかし、ホワイトボードに伸ばした手が痛い。暑くないはずなのに汗が出る。ずっと立っていると苦しい。呼吸も変だ。明日は休講を決意した。



日記目次前頁次頁: メールは こちら